◎ツィマノウスカヤ選手は2021年8月、コーチを批判したという理由でベラルーシへの帰国を命じられた。
陸上競技の不正防止機関「アスレチックス・インテグリティ・ユニット(AIU)」は19日、東京2020五輪に出場したベラルーシ代表のコーチを告発した。
陸上女子100mに出場したツィマノウスカヤ(Krystsina Tsimanouskaya)選手は2021年8月、ベラルーシへの強制帰国を命じられ、千葉の成田国際空港に連れていかれたものの、警察に助けを求め、紆余曲折の末、ポーランドへの亡命を許可された。
ロシアの同盟国であるベラルーシの国内オリンピック委員会(NOC)は欧州最後の独裁者ルカシェンコ(Alexander Lukashenko)大統領の管理下に置かれている。
ツィマノウスカヤ選手は競技の予選後、コーチを批判したという理由でベラルーシへの帰国を命じられた。
AIUは声明で、「コーチのマイセビッチ(Yury Maisevic)氏をツィマノウスカヤ選手に対する3つの違反で告発する」とした。
AUIは東京大会でベラルーシのヘッドコーチを務めたマイセビッチ氏がツィマノウスカヤ選手に「言葉による精神的な嫌がらせを行った」と主張している。
同じく調査の対象になった別のコーチは証拠不十分として除外された。
AIUはマイセビッチ氏の違反行為について、次のように指摘している。
▽誠実に行動せず、不誠実に行動した。
▽ツィマノウスカヤ選手の尊厳を守らず、言葉による嫌がらせをした。
▽陸上競技全般の評判を貶めた。
ツィマノウスカヤ選手は一部のチームメイトが出場資格を失い、急遽400mリレーに出場させられたとソーシャルメディアに投稿。コーチらの決定を批判した。
ベラルーシの国営メディアはこの投稿について、「彼女にはチームスピリットが欠けている」と批判していた。
その後、ツィマノウスカヤ選手は関係者に帰国を命じられ、空港に強制連行された。
ルカシェンコ当局によると、ツィマノウスカヤ選手は「感情的・心理的な問題」を理由にチームから外されたという。