◎リュッツェラートの騒乱はショルツ首相の気候変動対策に一石を投じ、議論を巻き起こしている。
2023年1月13日/ドイツ、西部ノルトライン・ウェストファーレン州リュッツェラート、グレタ・トゥンベリさんと環境活動家たち(Federico Gambarini/ドイツ通信社)

ドイツ警察は13日、西部ノルトライン・ウェストファーレン州の廃村リュッツェラートに陣取った環境活動家と対峙した。

この村の一部の住民は村をつぶして炭鉱を拡張する計画に反対する訴訟を起こし、敗れ、昨年国営電力会社RWEに土地を売却した。

しかし、環境活動家たちは政府の方針を非難し、村に立てこもり、抵抗を続けている。ドイツ通信社(dpa)によると、ある活動家2人は村内の立坑で寝泊まりしているという。

13日に行われた抗議デモにはスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリ(Greta Thunberg)さんも参戦し、警察に抗議した。

活動家たちは「(石炭は)地中に埋めておけ」と書かれたプラカードを掲げていた。

リュッツェラートの騒乱はショルツ(Olaf Scholz)首相の気候変動対策に一石を投じ、議論を巻き起こしている。

村に立てこもる活動家を一掃する警察の作戦は11日早朝から始まった。一部の活動家は警察官に花火や泥団子を投げつけて反撃したが、負傷者は報告されていない。

dpaによると、警察は13日に最後の建物の撤去を開始したという。一部の活動家は村内にテントを張って抵抗しているが、それも撤去される見通しだ。

立坑に立てこもった活動家2人はSNSに声明を投稿し、警察を非難した。

地元警察の署長は声明で、「真冬の立てこもりは極めて危険だ。今すぐ投降しなさい」と呼びかけたが、逮捕はしないと約束している。

署長は救助隊に支援を要請する可能性があると警告した。dpaは警察関係者の話を引用し、「活動家が入った立坑の深さは数十メートル」と報じている。

活動家たちは村を破壊し、炭鉱を拡張すれば、膨大な量の温室効果ガスが排出されると指摘している。

これに対し、ショルツ氏の与党社会民主党と連立を組む「緑の党」は「エネルギー安全保障を確立するためには石炭が必要だ」と反論している。

一部のデモ参加者は全国から警察官が集められ、放水車まで配備されたことに怒りを表明した。「私たちはドイツ軍の強力な戦車部隊にも立ち向かう覚悟です!」

反原発を公約に掲げる緑の党と社会民主党は昨年、2030年までに石炭火力発電所を廃止する見返りとして、RWEにリュッツェラートを取り壊す許可を与えた。

2023年1月13日/ドイツ、西部ノルトライン・ウェストファーレン州リュッツェラート、地元警察の退去命令に抵抗する環境活動家(Rolf Vennenbernd/ドイツ通信社)
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