◎容疑者は23日、クルド人の文化施設などで銃を乱射し、3人を殺害、3人に重軽傷を負わせた。
2022年12月24日/フランス、パリ中心部、クルド人コミュニティへの攻撃に抗議する暴動(ロイター通信)

フランスの検察当局は25日、パリのクルド人コミュニティで3人を殺害した69歳の容疑者が「移民に対する憎悪」を募らせ、「ヨーロッパ人以外の外国人を標的にしたと認めた」と明らかにした。

容疑者は23日、クルド人の文化施設などで銃を乱射し、3人を殺害、3人に重軽傷を負わせた。負傷した3人のうち1人は重体と報告されている。犠牲者の身元は明らかにされていない。

容疑者は警察の取り調べを受けた後、健康上の理由で拘留を解かれ、精神科施設に移された。

パリ検察庁によると、容疑者はウィリアム・Mと名乗り、2016年に自宅に強盗が入った後、鬱を患い自殺願望が強くなったと供述したという。

容疑者は「事件以来、外国人への憎悪が病的なものになった」と述べ、憎悪が今回の事件につながったと認めた。

同庁によると、容疑者はヨーロッパ人以外を殺害するために、パリ北部の移民が多く住む地域に行ったものの、外国人を見つけることはできなかったという。

その後、市中心部のクルド人文化施設に移動し拳銃を乱射した。

同庁によると、容疑者はシリア内戦におけるクルド人民兵のイスラム国(ISIS)との戦いに納得できなかったとする趣旨の供述を行ったという。

クルド人民兵はシリアとイラクにおける対ISIS作戦で主導的な役割を担っている。

容疑者は銃撃後、抵抗することなく逮捕された。

AFP通信によると、容疑者は昨年12月に市内にある移民収容施設を襲撃。刃物でテントを切り裂いたとして逮捕されたという。検察は容疑者を勾留の上限である1年間拘束し、今月12日に釈放した

この銃撃事件はクルド人コミュニティの怒りを煽り、暴動を引き起こした。23日と24日に行われた抗議デモの参加者の一部が暴徒化し、警察に石を投げたり、車に火を放ったりした。

多くのデモ参加者がクルド人コミュニティに連帯を示し、ヘイトクライムを非難した。

デモ隊は警察当局にクルド人が多く住む地域の警備を強化するよう求めている。地域のリーダーたちは24日、パリ警察の署長らと面会した。

デモ隊はパリでクルド人の女性活動家3人が殺害された事件にも触れ、警察に一刻も早く容疑者を逮捕するよう求めた。この事件は2013年1月に市内で発生。容疑者は捕まっていない。

2022年12月25日/フランス、パリ中心部(Getty Images/EPA通信)
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