◎パリ中心部にあるクルド人の文化施設と美容院で男が銃を乱射し、少なくとも3人が死亡、3人が重軽傷を負った。
フランス当局は23日、パリ中心部にあるクルド人の文化施設と美容院で男が銃を乱射し、少なくとも3人が死亡、3人が重軽傷を負ったと発表した。
警察によると、69歳の元電車運転士の男が銃を乱射したという。
検察は声明で、「動機は調査中だが、警察はフランス出身の容疑者の身柄を確保した」と発表。容疑者も負傷したという。容体は不明。
市当局によると、男性1人と女性2人が死亡。負傷した3人はいずれも男性で、1人が重体と伝えられている。身元は明らかにされていない。
AFP通信は関係者の話を引用し、「容疑者は最近刑務所を出所し、武器の所持を禁じられていた」と報じた。
事件後、現場周辺に集まったクルド人とみられる人々が警察のバリケードに突撃し、乱闘に発展した。AFPによると、警察は催涙ガス弾を使用したものの、デモ隊を抑えることはできず、周辺の車や警察車両が破損したという。
地元テレビ局の取材に応じた男性は、「トルコ政府がクルド人を殺すためにヒットマンを送った」と主張した。
一部のデモ隊はトルコ、米国、EUがテロ組織に指定するクルド人組織「クルド労働者党(PKK)」を支持するスローガンを叫んでいた。
市当局によると、事件は文化施設と美容院内で発生したという。
検察は人種差別・ヘイトクライムの可能性も視野に捜査を進めるとしている。
また検察は「現時点でこの男が過激な思想を持つ運動に属していたという証拠は確認できていない」と説明した。
市当局はツイッターに声明を投稿。犠牲者とその遺族、クルド人コミュニティに哀悼の意を表した。
AFP通信によると、容疑者は昨年12月に市内にある移民収容施設を襲撃。刃物でテントを切り裂いたとして逮捕されたという。検察は容疑者を勾留の上限である1年間拘束し、今月12日に釈放したと伝えられている。
市当局によると、容疑者はスポーツクラブでライフル射撃競技を行っており、銃器を複数所有していたという。
パリ警察は23日、事件現場近くで暴動が発生したことを受け、クルド人が多く住む地区の警備を強化すると発表した。
現場を視察したダルマナン(Gerald Darmanin)内相は記者団に対し、「容疑者が外国人を狙っていたのは明らかだが、クルド人を狙ったかどうかは現時点では分からない」と述べた。
トルコ政府はイスタンブールの歩行者天国で先月発生した爆弾テロにPKKとそれに属するシリアのクルド人テロ組織が関与していると断言し、シリア北部にあるクルド人自治地区への空爆を開始した。
オスマン帝国時代から続くトルコ人とクルド人の紛争は1980年代に本格化し、数万人が死亡したと考えられている。