◎メリリャはアフリカ大陸北西部に位置するスペインの都市で、1995年に自治権を与えられた。
スペインの検察当局は23日、今年6月に同国の飛び地メリリャで発生した移民大量死の捜査を打ち切ると発表した。
メリリャはアフリカ大陸北西部に位置するスペインの都市で、1995年に自治権を与えられた。
西欧への亡命を希望する人々は今年6月、モロッコ領内からメリリャの国境フェンスに突撃し、国境警備隊と衝突。この乱闘で移民少なくとも23人が死亡、数百人が負傷した。
人権団体はもっと多くの移民が死亡し、モロッコとスペインが遺体を秘密裏に処理したと主張している。
スペイン検察は声明の中で、「スペインの警備隊による犯罪行為の証拠は確認できなかった」と述べている。
また検察は、「事件に関与したスペインの治安当局者の行為が移民の生命を脅かしたという証拠は見つからず、罪には問えない」と結論付けた。
検察は「移民たちは敵対的かつ暴力的であった」と述べている。
国境警備隊によると、一部の移民は棒などを振り回して隊員に抵抗したという。モロッコ領からフェンスを目指した数百人がフェンス周辺に殺到した結果、群集事故のような現象が発生した。
モロッコ警察は催涙ガスを使用し、移民を警棒で殴りつけたと告発されている。取り締まりに参加したスペインの警備隊も群衆を追い返すために盾などを使った。
数十人が折り重なるようにして倒れ、負傷者が続出する中、騒動は終了し、救急車が駆け付ける事態となった。
スペイン検察は声明の中で、「スペインの警備隊は助けを必要とする人々がいると認識し、行動した」と述べている。
また検察は、「スペイン領内に入った470人はスペインの法律に基づき、モロッコ領内に戻った」と説明した。
入国した移民を押し戻す通称「プッシュバック法」は国際法およびEU法に違反しており、欧州で論争の的になっている。
スペイン検察は移民に石を投げたとされる一部の隊員を非難し、懲戒手続きを取るよう勧告した。
国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは今月初め、この事件の調査が遅々として進まないことを非難し、「両国から隠蔽と人種差別の臭いがする」と断じた。