◎ベルギーのメディアは賄賂を贈った側をカタールと名指している。
欧州議会のカイリ(Eva Kaili)副議長が9日、収賄の疑いで逮捕された。
ブリュッセルの検察当局は中東の国家が金銭やその他の贈答品を送り、欧州議会に影響を及ぼそうとしたと考えている。
AFP通信によると、カイリ氏を含む5人が逮捕されたという。当局は認否を明らかにしてない。
ベルギーのメディアは賄賂を贈った側をカタールと名指しているが、王国の報道官は関与を否定している。
カイリ氏は欧州議会の副議長14人のひとりであり、議会から停職処分、ギリシャの所属政党から除名処分を受けている。
欧州議会は声明で、「汚職を非難し、調査に全面的に協力する」と述べている。
AFPによると、ブリュッセル当局はカイリ氏の事務所など16カ所を家宅捜索し、約60万ユーロ相当の贈答品や現金を押収したという。また当局は携帯やパソコンも合わせて押収した。
ベルギー連邦検察は声明の中で、「湾岸諸国は数カ月にわたって議会の経済的・政治的決定に影響を及ぼしていた疑いがある」と指摘した。
また検察は、「この国家は議会の高官や側近をターゲットにしている」とした。「欧州議会内で重要な政治的・戦略的地位にある個人に多額の金銭や贈答品が送られていました...」
報道によると、当局は犯罪組織、汚職、マネーロンダリングの疑いでも捜査を進めているという。
ベルギーの一部メディアは情報筋の話を引用し、湾岸諸国をカタールと名指しした。
カタール政府の報道官はAFPの取材に対し、「捜査を承知しておらず、カタールが不正に関与したという主張は誤りである」と反論した。
欧州議会の報道官はロイターに対し、「捜査に関するコメントは差し控えるが、当局の捜査に全面的に協力する」と述べた。
ギリシャのメディアは「国際腐敗防止デー(12月9日)」にカイリ氏が逮捕されたことについて、「恥」と報じた。
欧州議会がこの日を記念して公表したレポートによると、汚職はEU経済に年間1790億~9900億ユーロの損失を与えているという。これはEUのGDPの6%に相当する。
カタールはFIFAワールドカップの開催招致をはじめ、繰り返し汚職疑惑を指摘されてきた。同国は疑惑を否定している。