◎地元メディアはこのスキャンダルを米国のウォーターゲート事件をもじって、「ファームゲート事件」と呼んでいる。
南アフリカのラマポーザ大統領(Getty Images)

南アフリカのラマポーザ(Cyril Ramaphosa)大統領は3日、辞任の可能性を否定し、2期目を目指して闘い続けると誓った。

ラマポーザ氏は400万ドル以上の盗難外貨をネコババしたと告発され、崖っぷちに立たされている。

この隠蔽騒動を調査する委員会は今週、連邦議会に報告書を提出した。

地元メディアはこのスキャンダルを米国のウォーターゲート事件をもじって、「ファームゲート事件」と呼んでいる。

調査委員会は先月末、レポートを引用し、「大統領は質問に答えなければならない」と声明を発表した。

しかし、ラマポーザ氏の報道官は3日、辞任の可能性を否定し、与党アフリカ民族会議(ANC)の支持を得て2期目を目指すと語った。

マグウェンヤ(Vincent Magwenya)報道官は南アフリカ放送協会(SABC)のインタビューで、「大統領は欠陥のある報告書に基づいて辞任するつもりはない」と主張した。

またマグウェンヤ氏は委員会の報告書を批判し、「それに異議を唱えなければ、南アフリカの民主主義は大打撃を受ける」と述べた。「我々は明らかに欠陥のある報告書に異議を唱えます。この異議申し立てはラマポーザ大統領の任期をはるかに超えて、南アフリカの完全な民主主義を確立するでしょう」

スキャンダルは6月に公となり、ラマポーザ氏の首を絞め上げた。

元国家安全保障局長官のフレイザー(Arthur Fraser)氏は6月、ヨハネスブルグの警察署に書簡を提出し、ラマポーザ氏の農場に400万ドル以上の盗難外貨が隠されていたと告発した。

フレイザー氏によると、この米ドルを盗んだ強盗は拘束されたものの、ラマポーザ氏から口止め料を受け取り、姿を消したという。

フレイザー氏は書簡の中で、「ラマポーザ氏は警察と税務当局に事件を届けず、隠蔽した」と主張している。

ラマポーザ氏は告発を「とんでもない言いがかり」と否定したが、連邦議会はフレイザー氏の主張が事実か否かを確認する必要があるとして、9月に調査委員会を発足させた。

ラマポーザ氏は外貨の盗難事件が事実であることを認めたものの、被害額は400万ドルではなく58万ドルだったと反論した。

ラマポーザ氏は農場で見つかった外貨について、「ジビエ(狩猟で得た天然の野生鳥獣の食肉)の販売で得たもの」と説明したが、調査委員会はあらゆる可能性を考慮して調査に当たったとしている。

国会は報告書を精査し、弾劾手続きを開始するか否かを決める予定だ。

与党ANCの一部議員と野党はラマポーザ氏に辞任を求めている。

報道によると、ラマポーザ氏は4日にANCの指導部と会談する予定。ここ数日の会合には姿を見せなかった。

ラマポーザ氏は前任のズマ政権時代に蔓延していた汚職を一掃すると宣言して大統領に就任したため、国民は今回の騒動を注視している。

ANCはズマ(Jacob Zuma)前大統領の派閥とラマポーザ氏の派閥で深く分裂したままだ。

ラマポーザ氏は汚職で告発されたムキゼ(Zweli Mkhize)元保健相の任命責任も問われている。

2022年6月5日/南アフリカのラマポーザ大統領(Phando Jikelo/AfricanNews)
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