◎地元メディアはこのスキャンダルを米国のウォーターゲート事件をもじって、「ファームゲート事件」と呼んでいる。
南アフリカのラマポーザ大統領(Themba Hadebe/AP通信)

南アフリカの連邦議会が設置した調査委員会は30日、ラマポーザ(Cyril Ramaphosa)大統領が所有する農場から現金数百万ドルが見つかった問題に関するレポートを議会に提出した。

2024年の大統領選で再選を目指すラマポーザ氏はスキャンダルを政治的動機によるものと批判したが、議会と国民は納得しなかった。

地元メディアはこのスキャンダルを米国のウォーターゲート事件をもじって、「ファームゲート事件」と呼んでいる。

元国家安全保障局長官のフレイザー(Arthur Fraser)氏は今年6月、ヨハネスブルグの警察署に書簡を提出し、ラマポーザ氏の農場に400万ドル以上の盗難外貨が隠されていたと告発した。

フレイザー氏によると、この米ドルを盗んだ強盗は拘束されたものの、ラマポーザ氏から口止め料を受け取り、姿を消したという。

フレイザー氏は書簡の中で、「ラマポーザ氏は警察と税務当局に事件を届けず、隠蔽した」と主張している。

ラマポーザ氏は告発を「とんでもない言いがかり」と却下したが、議会は疑問を呈し、9月に調査委員会を創設。不正が事実であるか否かを調べていた。

ラマポーザ氏は強盗事件が事実であることを認めたものの、農場で見つかった現金は「ジビエ(狩猟で得た天然の野生鳥獣の食肉)の販売で得たもの」と説明した。

与党「アフリカ民族会議(ANC)」は来月中旬に会合を開き、2024年の大統領選でラマポーザ氏の2期目挑戦を支持するかどうかを決める予定である。このスキャンダルは最悪なタイミングで露呈し、ラマポーザ氏を崖っぷちに追い詰めた。

国営テレビは調査委員会の声明を引用し、「大統領の弾劾投票を行うか否かは大きな決断であり、慎重に議論を進める必要がある」と報じている。

この調査は警察が行っている犯罪捜査とは別ものである。ラマポーザ氏は捜査に全面的に協力しているようだ。

国会は12月6日にこのレポートを審議する予定。

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