◎連邦議会の一部の共和党員は、歴史的なインフレに苦しむ民主党との中間選挙で思いもよらぬ苦戦を強いられた責任はトランプ氏にあると指摘している。
トランプ(Donald Trump)前米大統領は15日、フロリダ州のマー・ア・ラゴで記者会見を開き、2024年の大統領選に出馬すると表明した。
トランプ氏の大統領選出馬はこれで3度目。
トランプ氏が「アメリカのカムバックが始まる」と宣言すると、熱狂的な共和党支持者は「俺たちの大統領!」「USA!USA!」「あと4年!」などと叫び、会場は異様な空気に包まれた。
連邦議会の一部の共和党員は、歴史的なインフレに苦しむ民主党との中間選挙で思いもよらぬ苦戦を強いられた責任はトランプ氏にあると指摘している。
共和党は上下両院で多数派に返り咲くと予想されていたが、上院の敗北が確定し、下院でも大接戦を強いられている。
「2020年の大統領選は盗まれた」「バイデンが操作したんだ」と主張し続けているトランプ氏は昨年末頃から再出馬を匂わせていた。
不動産王からリアリティTVスターに上り詰め、自称「MAGA(Make America Great Again)キング」となったトランプ氏の再チャレンジ表明は、「米国の汚点」と呼ばれる昨年1月6日の議会襲撃を主導した男が再び大統領になるかもしれないというリベラル派の不安を煽った。
トランプ氏の仲間たち約1000人が、昨年1月6日の議会襲撃に関与したとして起訴されている。
トランプ氏はこの歴史的な暴動に参加した市民を「愛国者」と呼び、再び大統領になった場合は起訴された人々を赦免すると宣言している。
伝説の不動産王は1月6日の調査、マー・ア・ラゴで回収された機密文書の取り扱いに関する調査、自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に関する調査など、複数の連邦調査の対象となっている。
一部の側近はトランプ氏が出馬を表明することで捜査の対象から外れると考えている、らしい。しかし、多くの法律専門家は、立候補しても同氏が特別な恩恵を受けることはないと指摘している。
トランプ一族の不動産事業であるトランプ・オーガニゼーションは現在、脱税と詐欺の疑いで告発され、ニューヨークで裁判にかけられている。同氏が再選を果たしたとしても、この裁判は影響を受けず、継続される。なお、同社は不正を否定している。
トランプ氏は在任中に2度弾劾にかけられたが、なんとか生還した。今年初めに行われたABCニュース/ワシントン・ポスト紙の世論調査によると、回答した共和党員の6割がトランプ氏の再選を支持したという。
チームトランプ氏は今回の中間選挙に数百万ドルを投入し、激戦州のペンシルベニア、ジョージア、ネバダの共和党候補などを熱烈に応援した。
しかし、上院の支配権をかけたペンシルベニア州の候補は民主党候補に敗れ、ネバダ州の上院選でも民主党の現職に屈辱の敗北を喫した。
トランプ氏が個人的に推薦した候補少なくとも30人の落選が決まり、多くの共和党員が「トランプで大丈夫か?」「76歳の老人に頼るべきではない」「世代交代の時が来た」などと懸念を示している。
トランプ氏は2024年大統領選のライバルになると噂されているフロリダ州のデサンティス(Ron DeSantis)知事など、主要な対立候補への口撃を開始している。
トランプ氏は先週の声明でデサンティス紙を「平均的な知事」と呼び、「2018年の知事選で自分が支持を表明するまでは政治的に死んでいた」と主張した。「デサンティスは面白みのない平均的な男です。彼は大統領にふさわしくありません」
AP通信はトランプ氏に近い情報筋の話を引用し、「今回の州知事選でデサンティス氏の知名度が急上昇し、世界レベルで注目を集めたため、トランプ氏はひどく焦っているようだ」と報じた。
一方、SNSにはトランプ氏の再チャレンジを歓迎する右派勢力がコメントを寄せている。
ツイッターユーザーたちは「トランプ大統領を終身大統領に任命しよう」「バイデンは2024年の老人ホーム首長選に立候補するだろう」などと投稿し、あるユーザーは「バイデンはアルツハイマーだ」と主張した。
報道によると、バイデン氏はトランプ氏の出馬表明に関心を示さず、ウクライナの隣国ポーランドにミサイルが着弾した事件の対応に追われているようだ。
G7とNATOはこの事件に関する緊急会合を開き、慎重に事件を調査するとした。