◎SNSにはウェイトレスらが血の海に横たわる写真が複数共有されている。
メキシコ当局は10日、暴力が絶えない中部グアナフアト州のバーに銃を持った男が押し入り、女性4人を含む9人を射殺したと発表した。
同州はメキシコで最も危険な州のひとつであり、麻薬カルテル「ハリスコ新世代(Jalisco New Generation)」などが支配権をめぐって争っている。
報道によると、同州内のバーで大量殺人が発生したのはこの3カ月で3件目。
州警察は声明で、「容疑者は店内に手書きのメモを残していた」と報告している。AP通信によると、メモにはバーのオーナーがハリスコ新世代側であることに不満を示す内容が書かれていたという。
またメモには麻薬カルテル「サンタ・ロサ・デ・リマ(Santa Rosa de Lima)」の犯行であることを示す刻印が残されていた。APによると、このカルテルのリーダーは現在服役中。
SNSにはウェイトレスらが血の海に横たわる写真が複数共有されている。
州政府によると、女性2人が負傷したものの、命に別条はないという。
この地域の紛争はハリスコ新世代を中心に繰り広げられているとみられる。
グアナフアト州の別の都市で先月発生したバー襲撃事件では女性6人を含む12人が死亡。9月には10人が死亡している。
地元メディアによると、みかじめ料を拒否したり、特定のカルテルまたはギャングとつながりのあるバーが攻撃の対象になるという。
また、売人やカルテルの関係者がよく利用するバーも狙われやすいようだ。
多くの専門家がグアナフアト州で進行中の紛争をメキシコの2大麻薬カルテルの「代理戦争」と呼んでいる。
地元メディアによると、中米最大の麻薬カルテル「シナロアカルテル(Sinaloa Cartel)」はサンタ・ロサ・デ・リマを支援し、ナンバー2のハリスコ新世代から領土を奪おうとしているように見えるという。
メキシコはシリアやアフガニスタンなどの紛争地を除いて、世界で最も危険な国のひとつとされ、2006年頃から本格化した麻薬戦争の犠牲者は35万~40万人と推定されている。