◎ギャングたちは首都ポルトープランスの約60%を支配したと考えられている。
2022年10月30日/ハイチ、首都ポルトープランス、政府に抗議するデモ(Ramon Espinosa/AP通信)

ハイチ政府は31日、首都ポルトープランスで警察官が地元のジャーナリストを殺害したという申し立てを受け、警察に調査を命じた。

ポルトープランス警察の報道官は声明で亡くなった記者と遺族に哀悼の意を表し、「暴力的なデモ隊を抑えるたみめに催涙ガス弾を発射せざるを得なかった」と説明した。

一部の地元メディアは目撃者の話を引用し、「男性は頭を撃ち抜かれた」と報じていたが、実弾ではなく催涙ガス弾が頭に当たり死亡したとみられる。

AP通信によると、この記者は30日のデモに参加し、攻撃を受けたという。デモ隊は地元ラジオ局に務める男性が警察に拘束されたことに抗議し、ポルトープランスの警察署前に集まっていた。

地元のジャーナリスト協会も警察が抗議者数人を殴打し、機材や持ち物を没収したと非難している。また同協会は記者が犯罪者のように扱われていると怒りを表明した。

ハイチの治安は昨年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺事件と8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、危機的な状況が続いている。

ポルトープランスでは4カ月ほど前から「G9&Family」などの武装ギャングが地域の支配権をめぐって戦闘を繰り広げているとみられ、国連によると、7月中旬以降の死者、負傷者、行方不明者は数百人に達し、10万人以上が避難民になった。

またポルトープランスではアンリ(Ariel Henry)首相に辞任を要求する抗議デモも続いている。デモ隊は燃料補助金の廃止を決めたアンリ氏の辞任と暴力の終結を求めている。

ポルトープランスの主要燃料ターミナルはギャングの支配下に置かれ、市内のガソリンスタンドは空になり、医療機関は閉鎖を余儀なくされ、一部地域ではコレラが急拡大し、子供を含む数十人が死亡したと報告されている。

ギャングたちはより多くの領土を支配するために暴れまわっており、女性や児童だけでなく男性も強姦被害に遭うなど、地獄の様相を呈している。

米国とカナダはハイチ警察を強化するために装甲車や装備品などを送っている。国連安保理はアンリ首相の支援要請に関する会合を開く予定だが、日程は明らかにされていない。国連事務総長はハイチに平和維持軍を派遣するよう関係国に要請している。

2022年10月30日/ハイチ、首都ポルトープランス、政府に抗議するデモ(Ramon Espinosa/AP通信)
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