◎アフガンではこの数カ月、ISIS系組織のひとつであるIS-K(イスラム国ホラサン)によるテロ攻撃が相次いでいる。
アフガニスタンの現地メディアは3日、首都カブールの大学入試の試験会場を狙った自爆テロの犠牲者がタリバンの公式発表の2倍以上となる52人に達したと報じた。
爆弾を身に着けた容疑者は9月30日、カブール西部ダシュテバルチにある教育施設の試験会場に侵入し、自爆した。タリバンはこの攻撃で少なくとも19人が死亡、27人が負傷し、犠牲者の大半が女子生徒だったと報告。その後死者数を25人に訂正した。
AP通信によると、このテロで死亡した39人の遺族が取材に応じ、さらに13人の死亡を確認できたという。
52人のうち31人が17~20歳の女性で、14歳の少女の死亡も確認された。この少女はいとこと一緒に会場を訪れ、テロに巻き込まれた。
カブール警察の報道官は3日、内務省の報告を引用し、25人の死亡を確認したと発表した。
タリバンによると、犯行声明は出ていない。イスラム国(ISIS)はこの地域に居住する少数民族ハザラ人へのテロ攻撃を繰り返しており、モスク、学校、医療機関などが標的になってきた。
この攻撃で姉を失ったという少女はAP通信の取材に対し、「試験会場にスンニ派はいなかった。全員がシーア派だった」と語った。
タリバンが死者数を少なく公表した理由は不明。一部のメディアは当局も実態を把握できていない可能性があると報じている。
アフガンではこの数カ月、ISIS系組織のひとつであるIS-K(イスラム国ホラサン)によるテロ攻撃が相次いでいる。
IS-Kはシーア派イスラム教徒への攻撃を繰り返し、この数年で数百人を殺害している。
2020年の産科病院襲撃事件もシーア派が多数派を占める地域で発生し、新生児を含む24人が殺害された。
タリバンが政権を奪取する数カ月前には学校が襲撃を受け、90人以上が死亡。そのほとんどが女子学生だった。
ダシュテバルチでは自動車爆弾テロも頻発しており、今年初めには学校と教育センターがほぼ同時に攻撃され、6人が死亡した。
国連アフガニスタン支援ミッション(UNAMA)は3日、ツイッターを更新し、「試験会場のテロで53人が死亡、110人が負傷した」と投稿した。
UNAMAはツイートの中でこう述べている。「我々は犯罪を記録し続け、事実を検証し、否定と修正に対抗するための信頼できる証拠を確立する」