◎この暴動と群衆事故は世界のサッカー史の中で最悪の部類に入る。
2022年10月1日/インドネシア、東ジャワ州のサッカースタジアム、サポーターと警察官(Getty Images/AFP通信)

インドネシア当局は2日、東ジャワ州マランのカンジュルハン・スタジアムで発生した暴動と群衆事故について、これまでに125人の死亡を確認したと報告した。

州警察は死者を174人と報告していたが、集約に誤りがあったとして訂正している。

カンジュルハン・スタジアムのホームチームはトップリーグ(1部)のアレマFC。

アレマFCの一部のサポーターは1日の試合でライバルチームのペルセバヤ・スラバヤに2ー3で敗れたことに激怒し、ピッチになだれ込んだ。

警察は暴動を抑えるために催涙ガスを使用し、多くのサポーターがピッチの出口に殺到、群衆事故に発展した。

東ジャワ警察のアフィンタ(Nico Afinta)署長によると、ピッチに入ったサポーターは3000人ほどで、残り約3万9000人は観客席にとどまったという。

国際サッカー連盟(FIFA)は試合会場で群衆を統制するためにガスを携帯したり、使用してはならないと定めている。

FIFAのインファンティーノ(Gianni Infantino)会長は2日、犠牲者に哀悼の意を表した。

報道によると、犠牲者の多くがピッチの出口近くで窒息もしくは圧死したという。

スタジアムのゲート入り口には犠牲者を追悼するろうそくや花束が置かれた。ゲートの扉は外側に大きく傾いており、かなりの圧力がかかったとみられる。

ジョコ・ウィドド(Joko Widodo)大統領は1日、調査が終了するまでトップリーグの全試合を中止するよう命じた。

SNSで拡散した動画には試合終了のホイッスル後、多くのサポーターがピッチになだれ込むところや、一部の警察官がサポーターを追いかけまわし、警棒や拳で殴りつけるところが映っていた。

アフィンタ署長は当時の状況を「無政府状態」と表現し、警察官2人が死亡したと報告した。死因は明らかにされていない。

インドネシアサッカー協会(PSSI)は徹底調査を約束している。

多くの専門家が警察の取り締まりに疑問を投げかける一方、サポーターをピッチに入れない対策も必要と指摘している。

インドネシアのサッカーリーグで乱闘は珍しくなく、アレマFCとペルセバヤ・スラバヤのサポーターは場外で何度も衝突しているようだ。

政府報道官によると、この試合のチケットは4万2000枚売れ、スタジアムの収容人数3万8000人を4000も上回っていたという。

試合を観戦していた男性はSNSに、「熱狂的なアレマFCのファンがピッチに入り、それに続いて多くのサポーターがなだれ込んだ」と投稿している。「サポーターたちは警棒と盾で武装した警察官の取り締まりに圧倒され、パニックを起こし、我先にと逃げ出しました」

報道によると、警察は催涙ガス弾を20発以上発射したという。

催涙ガスは観客席にも到達し、子供や老人が目の痛みを訴え、呼吸困難を起こした人もいたと報じられている。

この暴動と群衆事故は世界のサッカー史の中で最悪の部類に入る。

ペルーの首都リマで1964年に行われたペルー対アルゼンチンの五輪予選では約320人が死亡、1000人以上が負傷した。

ベルギーのブリュッセルにあるスタジアムで1985年に行われたリバプールFC対ユベントスの試合(ヨーロッパカップ決勝)では39人が死亡、600人が負傷。

1989年にはイングランドのサッカースタジアムでリバプールFCサポーター97人が圧死している。

2022年10月1日/インドネシア、東ジャワ州のサッカースタジアム(Getty Images/EPA通信)
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