◎スペインの先月の消費者物価指数(CPI)は前年同月から10.5%上昇した。
スペイン政府は29日、300万ユーロ以上の資産を持つ市民の金融所得課税を一時的に引き上げると発表した。
財務省報道官によると、対象者は納税者の0.1%にあたる約2万3000人。300万〜500万ユーロの個人資産には1.7%、500万〜1000万ユーロの個人資産には2.1%課税され、1000万ユーロ以上は3.5%支払うことになる。
対象年度は2023年と2024年の予定。サンチェス(Pedro Sanchez)首相はこの「資産税」を「連帯」と呼んでいる。
与党社会労働党(PSOE)と連立を組み急進左派ポデモスはこの措置を恒久化するよう求めている。
バイデン(Joe Biden)米大統領も導入を目指している資産への課税は、猛烈なインフレとエネルギー価格の高騰に苦しめられている低中所得者層への支援に充てられる予定だ。
サンチェス政権は年間所得が20万ユーロを超える市民の所得税率を26%から27%に引き上げることも計画している。
現在の所得税の最高税率は30万ユーロ以上の47%。キャピタルゲイン(株式や債券などの保有資産を売却して得た売買差益)の最高税率は26%である。報道によると、キャピタルゲイン税は28%に引き上げられる予定だ。
PSOEと急進左派ポデモスは29日、31億ユーロの税収をもたらすと予想されている通称「金持ち優遇しない税」に合意した。
また政府は、年間所得2万1000ユーロ以下の所得税の軽減を計画している。財務省によると、この措置は全国の労働者の約50%に恩恵をもたらすという。
さらに政府は、女性用衛生用品の消費税率を10%から4%に引き下げることでも合意した。
財務省は一連の税改革を称賛した。「スペインは公正、公平、社会正義を追求します...」
スペインは最近、大手エネルギー企業や銀行などに対する通称「風穴税(エネルギー危機にもかかわらず利益を上げる企業に科す税金)」を承認し、天然ガスの消費税率を21%から5%に一時的に引き下げた。
スペインの先月の消費者物価指数(CPI)は前年同月から10.5%上昇した。
スペインの地方政府は課税に関してはある程度の裁量権を与えられている。保守的な野党シウダダノスが過半数を占める地方政府は増税が国の成長を阻害すると指摘していたが、不動産税を引き下げたところもある。
PSOEが過半数を占める地方政府は低所得者に対する減税措置を導入している。