◎極右政党「イタリアの同胞」は2012年に創設され、独裁者ムッソリーニのファシズムから生まれたイタリア社会運動(MSI)をルーツとする。
イタリアの有権者は24日、EUの結束に大きな影響を与える選挙に投票する。
各紙の世論調査によると、極右政党「イタリアの同胞」のメローニ(Giorgia Meloni)党首と他の右派政党が過半数を獲得する見込みだという。
イタリアの同胞は2012年に創設され、独裁者ムッソリーニ(Benito Mussolini)のファシズムから生まれたイタリア社会運動(MSI)をルーツとする。そのロゴマークである三色旗は「ムッソリーニの墓で燃え盛る炎」と見なされている。
メローニ氏は「神・祖国・家族」という物議をかもす古臭いモットーを掲げ、減税と大統領の一般投票による選出、LGBTQ+(性的少数者)の権利剥奪、そして移民の取り締まり強化を望んでいる。
しかし、メローニ氏は支持率降下を恐れて西側の対ロシア制裁を支持し、EUへの口撃を抑えた。
メローニ氏の反LGBTと反移民政策はEUの結束に打撃を与える可能性がある。
投票は現地時間午前7時から始まり、23時に締め切られ、メディアの出口調査で態勢が判明する予定だ。
イタリア経済はコロナの大流行から持ち直しつつあったが、ロシアのウクライナ侵攻に端を発するエネルギー危機で物価が高騰し、市民の生活に大打撃を与えた。
候補者たちは選挙期間中、欧州とロシアの問題について議論してきたが、有権者が最も気にしていることは電気とガス代である。
EUはイタリアに2000億ユーロのコロナ復興融資を提供すると約束したものの、融資を受けるにはドラギ政権が準備した改革の履行が必要である。
メローニ氏はドラギ政権の方針を批判し、「EUではなくイタリアの国益を守る必要がある」と表明している。
イタリアを除くEU加盟26カ国がこの選挙を注視している。
中道左派と左派同盟は先月まで、メローニ氏率いる右派連合に団結して挑戦することを目指していた。しかし、共同戦線を組むことはできず、左派筆頭の「イタリア民主党」率いるレッタ(Enrico Letta)元首相は厳しい戦いを強いられている。
レッタ氏は左派政党「五つ星運動(M5S)」のコンテ(Giuseppe Conte)元首相と政策の一部を共有しているが、溝を埋めることはできていない。
各政党は代議院(下院)400議席と元老院(上院)200議席を争う。議席の3分の1が小選挙区制、残りは比例代表制で選出される。
専門家によると、票の40%を獲得した政党は連立を組むことで議席の6割を獲得する可能性がある。右派連合は憲法改正に必要な3分の2以上を目指している。
なお、仮にイタリアの同胞が第1党になり、右派連合が過半数を獲得したとしても、首相を決める(承認する)のは議員ではなくマッタレッラ(Sergio Mattarella)大統領である。
右派連合は強力な任命権限を持つ大統領を議会投票ではなく直接選挙で決めたいと考えており、そのためには憲法改正が必要となる。