◎トランプ氏は自身のSNSプラットフォーム「トゥルース・ソーシャル(Truth Social)」に声明を投稿。「また魔女狩りだ!」と一蹴した。
トランプファミリー、左からジュニア・イヴァンカ・エリック氏(Getty Images/AFP通信)

米ニューヨーク州のジェームズ(Letitia James)司法長官は21日、トランプ(Donald Trump)前大統領とその子供3人を金融詐欺で告発し、嘘を暴き、2億5000万ドルを回収すると誓った。

ジェームズ氏は提訴の理由のついて、長年にわたり金融機関や保険会社を欺き、資産価値を過大評価し、納税額を少なくするために税務当局に過少申告し、「数十億ドル単位のウソをついた」としている。

トランプ氏は自身のSNSプラットフォーム「トゥルース・ソーシャル(Truth Social)」に声明を投稿。「また魔女狩りだ!」と一蹴した。

ジェームズ氏はトランプ家のジュニア(Donald Trump Jr)氏、イヴァンカ(Ivanka Trump)氏、エリック(Eric Trump)氏、トランプ・オーガニゼーションの幹部2人も合わせて提訴した。

トランプ家の不正を追及する民事調査は3年に渡って行われた。

司法長官に刑事告訴する権限はないが、一連の調査で発覚した不正行為はすべて連邦検察および内国歳入庁(IRS)と共有している。

ジェームズ氏は声明の中で、「ドナルド・トランプ氏は、自分の子供やトランプ・オーガニゼーションの幹部たちの助けを借りて、自分の純資産を何十億ドルも偽って膨らませ、不当に利益を積み増し、制度を悪用した」と述べている。

また同氏は3億2700万ドルと評価されたトランプタワー内のトランプ氏のペンションもその中に含まれると説明した。「ニューヨークで、この金額に近い値段で売れたアパートはありません!」

トランプ氏の不正を抜粋すると、

▽ドナルド・トランプとその子供3人は、より良い融資を確保し、税金を抑えるために、ホテルやゴルフコースなどの資産価値を過大評価した。

▽少なくともこの10年、ドナルド・トランプとその家族は200以上の虚偽または誤解を招くような評価を財務諸表に記載した。

▽この財務諸表に記載された内容はドナルド・トランプ、ジュニア、トランプ・オーガニゼーションの幹部によって正確であることが証明された。

▽この企てによって、トランプ家は少なくとも2億5000万ドルを不正に獲得した。

NY州はこの2億5000万ドルの回収を目指している。

ジェームズ氏は、「被疑者のいないホワイトカラー金融犯罪であろうと、犯罪は犯罪だ」と糾弾した。「コネのある個人が法律を破って権利以上のお金を手にすることで、一般市民、労働者、中小零細企業、すべての納税者の資産が減少しました」

またジェームズ氏は、トランプ氏とその子供3人がNYの企業で役員や取締役に就任することを禁じるよう裁判所に求めている。

さらに同氏は、トランプ・オーガニゼーションのNYでの不動産取引を5年間禁じるよう求めている。

11月の中間選挙で再選を目指すジェームズ氏(民主党)は、トランプ・オーガニゼーションが提示した和解案を少なくとも1度拒否したと伝えられている。

トランプ氏はSNSの声明で「魔女狩りだ!」と非難し、黒人のジェームズ氏を人種差別主義者と呼んだ。「またもや人種差別主義者の司法長官、レティシア・ジェームズによる魔女狩りだ!彼女は知事選を諦め、司法長官選でも支持を得られないだろう」

トランプ氏は2018年の選挙でジェームズ氏が選出される直前、ジェームズ氏がトランプ氏を訴えると宣言し、「非合法大統領」と呼んだことを受け、「民主党は司法を武器化している」と非難していた。

ジュニア氏もツイッターに投稿した声明で、「ジェームズ氏は政敵を追及するために権限を悪用している」と非難した。

トランプ氏は11月の中間選挙に立候補しないものの、その影響力は民主党に強烈な圧力をかけ、2024年大統領選に出馬するのではないかという憶測を呼んでいる。

トランプ氏は先月、この民事調査に関連する司法長官事務所の質問を拒否した。ジェームズ氏によると、トランプ氏は憲法修正第5条(大陪審の告発または起訴によるものでなければ、全ての重罪に対して拘束され、責任を問われてはならない)の権利を繰り返し行使したという。

またジェームズ氏によると、エリック氏は2020年の宣誓証言で500回以上憲法修正第5条を引用したという。

専門家は、この訴訟が裁判に至るには1年近くかかるという見方を示している。

しかし、この告発により、トランプ氏はNYでビジネスを行ったり、NYの不動産から利益を得ることは難しくなるかもしれない。

多くの専門家が、「金融機関はトランプ財産にノーを突き付ける可能性がある」と指摘している。ただし、資産が正当に評価され、価値があると判断されれば話は別だ。

近い将来、トランプ氏は厳しい現実を突きつけられることになるかもしれない。

左からジュニア、トランプ前大統領、イヴァンカ氏(Getty Images/AFP通信/PAメディア)
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