◎インドネシアで燃料価格が引き上げられたのは約8年ぶり。
インドネシアの首都ジャカルタで12日、燃料の値上げに抗議するデモが行われ、イスラム教徒数百人が参加した。
デモ隊は大統領官邸に通じる通りを行進し、政府の決定に抗議した。
ジョコ(Joko Widodo)大統領が今月初めに発表した全国の燃料価格一律30%引き上げは低中所得者層の怒りに火をつけた。
インドネシアで燃料価格が引き上げられたのは約8年ぶり。
同様の抗議デモが学生や労働者を中心にインドネシア全土で行われている。
現地メディアによると、ジャカルタ市内で目立った混乱はみられなかったという。
デモ隊はプラカードや旗を掲げて市内を行進し、ジョコ氏に政策を見直すよう求めた。
デモを主催したイスラム教団体は声明で、政府の決定を厳しく非難した。「ウィドド大統領は貧困対策に失敗し、燃料価格は引き上げないという約束を破り、国民にウソをつきました...」
デモ隊は「アラーは偉大なり」「イスラムの戦士は労働者の隣に立つ」などと唱えた。
AP通信の取材に応じた男性は、「燃料値上げで生活が一気に苦しくなった」と訴えた。「貧しい人々はガソリンどころか食料すら確保できずにいます...」
大統領官邸前でも学生主導の抗議デモが行われ、数百人が参加した。
ジョコ氏は9月3日の声明で、「世界規模の原油・天然ガス価格の高騰により、政府のエネルギー対策費用は当初予算の3倍に相当する340億ドルに達した」と説明。補助金の打ち切りに理解を求めている。
一方、政府は燃料価格引き上げの影響を緩和するため、約2060万人の貧困家庭と労働者に16億ドル相当の支援を年末までに提供すると発表した。
インドネシア政府は何十年もの間、燃料に補助金を出してきた。
過去の燃料やその他の商品の値上げに抗議するデモは暴動に発展したことがある。独裁者スハルト(Suharto)元大統領を倒すきっかけとなった暴動も値上げに抗議する学生デモが発端であった。