◎ドイツは国内で消費する天然ガスの3分の1強をロシアから輸入していたが、主要パイプラインのノルドストリーム1は現在、完全停止している。
ドイツのガス輸入会社VNGは9日、ロシアの天然ガス供給削減により、市場価格よりはるかに高い価格でガスを輸入しなければならなくなったとして、政府に支援を要請した。
VNGの親会社であるエネルギー会社EnBWは9日の声明で、「VNGが経済省に支援を申請した」と明らかにした。
ハーベック(Robert Habeck)経済・気候保護相の報道官は記者会見で申請書を受理したと認めたが、支援の詳細には言及しなかった。
EnBWによると、VNGは約400の自治体や産業界にガスを供給しており、昨年は国内のガス需要の約20%をまかなったという。
政府は7月、天然ガス価格の高騰とロシアの供給量減少を受け、救済策の一環として国内最大のガス・電力会社ウニパーの株式の約30%を取得した。
また政府は、ウクライナ侵攻による対ロシア制裁の影響で打撃を受けた輸入業者を救済するため、ガスに対する付加価値税を2024年3月末まで19%から7%に引き下げた。
ロシア国営ガスプロム社は6月中旬から、ドイツ向け主要パイプラインである「ノルドストリーム1」の弁をゆっくりと閉め、EU経済の要石であるドイツへのエネルギー供給を削減し始めた。
ガスプロム社は対ロシア制裁の影響でパイプラインのメンテナンスに必要な部品などを調達できないと説明しているが、ドイツ政府はこれを否定し、ガス弁閉鎖で不安を煽り、ガス価格を吊り上げ、決断を迫ろうとしていると非難している。
ドイツは国内で消費する天然ガスの3分の1強をロシアから輸入していたが、主要ラインのノルドストリーム1は現在、完全停止している。
ショルツ(Olaf Scholz)首相は7日の記者会見で、「ドイツのガス在庫量は他国からLNG(液化天然ガス)を輸入しているおかげで100%に近づいており、この冬を乗り切ることができる」と述べた。