◎メルケル氏は大国ドイツを16年間率い、世界金融危機、移民問題、コロナの大流行など、相次ぐ危機に対処した。
ドイツの出版社は8日、昨年末に退任したメルケル(Angela Merkel)前首相の回顧録を2024年に出版すると発表した。
ケルンに本社を置く出版社「Kiepenheuer & Witsch」は声明で、「回顧録はメルケル氏と、同氏の長年の顧問であるバウマン(Beate Baumann)氏の共著で、政治と人生と仕事について個人的な見解をまとめたものになる」と述べている。
また同社はメルケル氏の声明を引用し、「政治活動や決断をプライベートも交えながら回顧録の中で振り返る」とした。
メルケル氏は大国ドイツを16年間率い、世界金融危機、移民問題、コロナの大流行など、相次ぐ危機に対処した。
メルケル氏は退任直後の声明で、「この16年はとても充実していたが、危機への注意、予防、対応が常にもとめられた」と振り返っていた。
メルケル氏は東ドイツで育った元科学者で、2005年11月にドイツ初の女性首相に就任した。
フォーブス誌は10年連続「世界で最もパワフルな女性」のひとりにメルケル氏を選出し、西側諸国は同氏を「リベラルな価値観を守る強力な政治家」とみなしている。
また数千万の女性が政治における「男性優位」「男性社会」という壁をぶち破った先駆者として称賛した。
その一方、ロシアのプーチン(Vladimir Putin)大統領と長年良好な関係を維持したことで非難されたこともあった。
メルケル氏は今年6月、退任後初のインタビューでロシア寄りという批判を否定し、「危機を回避するために最善を尽くしてきた」と述べた。