◎今回の判決は、ニカラグアを統治するオルテガ大統領とローマカトリック教会の緊張が高まっている中で下された。
ニカラグアの教会(Getty Images)

ニカラグアの裁判所は2日、14歳の少女をレイプしたとされるローマカトリック教会の司祭に禁固49年の実刑判決を言い渡した。

ホセ(José Leonardo Urbina)被告は2件の性的虐待で逮捕、起訴された。報道によると、裁判所はこのうち1件で禁固25年、もう1件で24年の実刑判決を言い渡したという。

ニカラグアの法律は禁固刑の期間を30年に制限しているため、ホセ被告の服役期間も最高30年となる。

ホセ被告は首都マナグアの北東90kmに位置する町で司祭を務めていた。報道によると、14歳の少女は被告にレイプされたと母親に告白したという。被告は7月に逮捕された。

被告が務めていた教区は声明で「深い痛みと苦しみ」を表明し、ホセ被告と被害者のために祈るよう呼びかけた。

今年6月には南部の町で別の司祭が女性に暴行を加えたと告発され、禁固2年を言い渡されたが、この告発が虚偽であったことが判明し、判決はまもなく覆された。この女性は偽証罪で起訴されている。

今回の判決は、ニカラグアを統治するオルテガ(Daniel Ortega)大統領とローマカトリック教会の緊張が高まっている中で下された。

ニカラグア警察は先月、北部マタガルパ県のローマカトリック司教宅を急襲し、数人を逮捕した。

ニカラグア政府はオルテガ政権の暴力や弾圧を非難したこの司教を「西側の工作員」と呼び、「暴力集団を組織し、憎悪を扇動し、デモを煽った」などと言いがかりをつけ逮捕した。

また政府は、首都マナグア郊外にあるオルテガ氏に批判的なラジオ局8つとテレビ局1つを急襲し、閉鎖に追い込んでいる。このラジオ局のうち7つはローマカトリックが運営していた。

オルテガ氏の独裁と弾圧に反対する2018年の抗議デモ以降、数千人の市民と野党指導者が亡命を余儀なくされた。オルテガ氏はデモを外国勢力のクーデターと呼び、暴力的な取り締まりを擁護した。治安部隊に殺害された市民は250~300人と推定されている。

政府を批判したという理由で閉鎖を命じられた非政府組織や団体は1000を超えている。

オルテガ氏と与党サンディニスタ民族解放戦線(FSLN)は昨年11月、欧米諸国に「茶番」と呼ばれた総選挙で4期連続となる勝利を収めた。米国とEUはオルテガ氏とその家族に制裁を科している。

オルテガ氏は米国を「ヤンキー帝国」、EU首脳を「ヒトラーの弟」と呼んでいる。

2018年9月11日/ニカラグア、オルテガ大統領(右)と妻のムリジョ副大統領(Getty Images/AFP通信)
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