◎米国もイスラエルも、イランの核兵器取得を阻止するための軍事行動を否定していない。
イスラエル国防省は26日、ガンツ(Benny Gantz)国防相が米国のサリバン(Jake Sullivan)大統領補佐官(国家安全保障問題担当)と会談し、イラン核合意に改めて反対を表明したと発表した。
ガンツ氏は25日に米国入りし、米軍中央司令部の高官らとも会談すると伝えられている。
イスラエルは2015年に締結されたイラン核合意を再開するという主要国の努力に断固として反対し、イランを痛めつけ、核開発を放棄させるよう求めている。米国もイスラエルも、イランの核兵器取得を阻止するための軍事行動を否定していない。
イスラエル国防省は声明の中で、「国防相はサリバン氏に交渉が進められている新協定に反対すると伝えた」と述べている。
またガンツ氏は、イランの核開発計画や侵略に対応するため、防御と攻撃に焦点を当てた軍事力を維持・向上させることの重要性を強調した。
同省は軍事力の維持・向上について、「合意に関係なく実施する」としている。
一方、ホワイトハウスは26日、「両氏はイランの核兵器取得を阻止するという米国のコミットメントと、イランとイランに拠点を置く組織の脅威に対抗する必要性について議論した」と声明を発表した。
イスラエルは数十年前に核兵器を取得したと広く信じられているが、その保有を認めたことはない。
イランは核開発を平和利用と主張している。2015年の合意では経済制裁の解除と引き換えに、核開発を抑制し、施設の監視拡大を許可した。
しかし、米国が2018年にイラン核合意から一方的に離脱。イランの外国資産を凍結し、イラン産原油、天然ガス、石油化学製品などに対する投資を禁止すると、イランはこれに強く反発し、核開発を加速させた。
専門家によると、イランは濃縮度60%のウラン生産をすでに開始しており、兵器級の90%以上を生産する技術を持っているという。ただし、イランはまだ核兵器製造とその運搬システムの設計を終えておらず、その実現には数カ月かかるとみられる。
<ウラン(U-235)の濃縮度>
▽0.7%:標準
▽2~5%:原子炉燃料(軽水炉用)
▽3.67%以下:イラン核合意の規定値
▽20%以上:高濃縮ウラン
▽90%以上:核兵器用