◎ハイチの治安は昨年7月のモイーズ大統領暗殺事件と8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ハイチ当局は25日、数十の汚職および汚職疑惑が財政破綻したハイチ政府に400万ドルもの損失をもたらしたと発表した。
この告発は公務員の汚職を調査する反汚職部門が行った。それによると、サッカー場新設工事が始まってもいないのに竣工し、学校の工事がうやむやになり、市長が固定資産税を免れ、市役所の予算が横領されるなど、多岐にわたるという。
反汚職部門の責任者であるジョセフ(Hans Joseph)氏は声明で、「国庫をむしばみ、国の経済・社会開発の努力を破壊した者をひとり残らず追究する」と約束した。
またジョセフ氏は司法当局に対し、この調査結果をもとに速やかに行動するよう呼びかけた。
首都ポルトープランスの政府関係者は26日、AP通信の取材に対し、「報告書に名前が挙がっている者は全員、直ちに裁判官に出頭しなければならない」と語った。
公開された30ページの報告書は冒頭、ジョセフ氏の機関が行った長期にわたる調査を要約し、「人口の60%以上が1日2ドル以下で生活しているこの国で汚職が蔓延していることが明らかになった」と説明している。
ジョセフ氏は少なくとも2つの公立学校、3つの市長室、3つの政府機関などが汚職に関与していることを突き止めた。
また、宝くじを販売している国営企業の事務局長が法律家である兄の助けを借りて30万ドル以上を使途不明の何かに流用し、国に200万ドル以上の損失を与えたことも明らかにした。
さらに、警察が職員に発行したデビットカードに関連する不正も発覚。解雇や退職した個人にもカードを発行した結果、わずか3カ月で14万ドル以上の損失が発生したと指摘している。
いくつかのプロジェクトのために計上された予算約10万ドルは使途不明の何かに流用された。
ある元職員は母親の自宅に市役所のオンライン窓口を開設し、公金を不正流用したと報告されている。この元職員は自分が所有する土地の固定資産税を支払わず、市職員の給与を自分の口座に振り込んだとされる。
北海岸の町アンスルージュの元市長は20数人の架空の職員を作り、その給与を市の会計士に提供していたとみられる。
さらに、6400ドルを計上した政府の5つの衛生プロジェクトが行われておらず、国際NGOオックスファムが燃料購入のために政府に寄付した4500ドルがどこかに消えたとしている。
北部サンラファエルの元市長は建設されなかったサッカー場と読書センターの工事費1万5千ドル以上を建設会社に支払ったと告発された。ジョセフ氏はこの会社の関係者を追いかけたが、逃げられたという。
さらに、中部の学校の校長は1万5000ドル以上を何かに流用し、学校の生徒数を300人以上多く報告。予算を水増ししていた。
ジョセフ氏はこれらの汚職を非難し、政府は壊滅的な状況下に置かれている国民を救うために、不正利用された公金を取り戻し、汚職に関与した者をひとり残らず罰することを望んでいると述べた。
ハイチの治安は昨年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺事件と8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ポルトープランスでは1カ月ほど前から「G9&Family」と「G-Pep」と呼ばれる2つのギャングが地域の支配権をめぐって激しい戦闘を繰り広げており、国連によると、7月中旬以降の死者、負傷者、行方不明者は確認できているだけで500人に達し、数千人が国内避難民になった。