◎フィリピンの刑務所は非常に混雑しており、全国の収容率は400%近くに達している。
2022年8月24日/フィリピン、中部イロイロ州の刑務所、屋上で抗議する受刑者たち(Fred Pasgala/AP通信)

フィリピンの警察当局は25日、中部イロイロ州の刑務所に収監されている受刑者が「屋上でメシを食わされている」などと抗議したことを受け、その刑務所の所長を解任したと発表した。

地元メディアによると、受刑者たちは24日早朝、収監施設の屋上で抗議したという。警察の報道官は会見の中で、「受刑者たちは許可なく屋上でデモを行ったため、捜査の対象となる可能性がある」と語った。

また報道官は、「共産主義ゲリラの元戦闘員や麻薬犯罪者を含む受刑者たちは朝の祈りと体操を放棄し、屋根によじのぼり、抗議デモを行ったようだ」と説明した。

受刑者たちは刑務所入り口周辺に集まったメディアと野次馬に対し、「屋上でメシを食わせるな」「食事が足りない」「所長出ていけ」などとシュプレヒコールを上げた。

ある受刑者は刑務所の問題点をまとめたメモを入り口に向かって放り投げた。

地元メディアによると、このメモには次のようなことが書かれていたという。
▽刑務所の食事は明らかに不足している。
▽家族や友人が持ってきた食料が押収され、刑務所の販売所で売られている。
▽食事にガラス片が混ざっていた。
▽腐った魚が提供された。
▽屋上で食事するよう強要された。

刑務所側は1日3食きちんとした食事を提供していると反論し、この主張をすべて否定している。

警察の報道官はこの刑務所を含む全国にある約500の刑務所には適切な予算が割り振られているとしたうえで、問題があれば改善するつもりだと述べた。

また報道官は「犯罪者だからという理由で抗議する権利や訴えを否定するつもりはない」と強調した。「我々は必要に応じて問題を調査し、改善します...」

報道官によると、所長は調査のため一時的に解任されたという。

フィリピンの刑務所は非常に混雑しており、全国の収容率は400%近くに達している。

政府は現在、混雑緩和に向けた取り組みを強化し、新たな刑務所を建設するなどしている。数年前の収容率は600%を超えていた。

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