◎ハイチの治安は昨年7月のモイーズ大統領暗殺事件と8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ハイチの首都ポルトープランスで22日、アンリ(Ariel Henry)首相とギャング戦争に抗議するデモが行われ、数百人が参加した。
AP通信によると、ポルトープランス中心部の大通りでギャングとみられる正体不明の男が抗議者の頭を撃ちぬき、車で逃走したという。
銃撃を目撃した男性はAP通信に、「ハイチはギャングの支配下に置かれ、制御不能に陥っている」と語った。「マシンガンや手榴弾を持った男たちがウロウロしています。警察官はどこにいったのですか?」
路上でタイヤを燃やしたグループは、「アンリは私たちを見殺しにするつもりだ」と訴えた。
ポルトープランスでは1カ月ほど前から「G9&Family」と「G-Pep」と呼ばれる2つのギャングが地域の支配権をめぐって激しい戦闘を繰り広げており、国連によると、7月中旬以降の死者、負傷者、行方不明者は確認できているだけで500人近くに達し、数千人が国内避難民になった。
AP通信によると、市内で「無法者」と呼ばれているギャング「ティ・マカク」とポルトープランス郊外に拠点を置く「トト・ギャング」は今月初め頃から高級住宅街周辺で銃撃戦を繰り広げているという。
ハイチの治安は昨年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺事件と8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
AP通信は地元の人権団体の話を引用し、「ギャングと思われる男たちは市民を標的にしている」と報じている。それによると、先週末、ポルトープランスのある地区で市民少なくとも8人が殺害され、そのうち2人は焼き殺されたという。
国連によると、経済状況も悪化の一途をたどっている。米国から輸入される日用品の価格はこの数カ月で4倍以上となり、ガソリンは不足し、入手できたとしてもリッター約4ドル(550円)近くする。
デモに参加したタクシー運転手は、「ガソリンが必要だ」と訴えた。「家族を養わなければならないし、学費も必要です。ハイチを助けてください」
首相府の入り口近くでは数日前からアンリ氏に辞任を要求する座り込みデモが行われている。
AP通信によると、警察は政府庁舎に接近したデモグループに催涙ガス弾を撃ち込み、分散させたという。死傷者の有無は明らかにされておらず、正体不明の男に頭を撃たれた抗議者の安否も不明。