◎海水温が高いこの時期は西欧への亡命を求める移民が増加する。
チュニジア政府は15日、地中海を横断して西欧を目指す亡命希望者650人以上をこの数日で保護したと発表した。
軍報道官によると、12日から15日の間に地中海に乗り出した、または乗り出そうとしたケースが46件確認され、リビアやエジプト人を含む657人を救助または保護したという。
軍報道官は声明の中で、「チュニジア沖に展開した海上警備隊は、頼りないゴムボートで地中海に乗り出そうとする10件の試みを阻止し、156人を保護した」と述べている。
この156人のうち102人はサハラ砂漠以南の出身で、残り54人はチュニジア人だった。
警察当局は中南部の海岸でボートを準備していた人身売買組織と思われる者たちを取り締まり、亡命希望者219人を救出したと報告している。当局はボート7隻を押収したと発表したが、それ以上の詳細は明らかにしなかった。
さらに海上警備隊は12日夜、幼児4人と女性5人を含む15人グループの出航を阻止した。この15人は全員チュニジア出身だった。
AFP通信は警察筋の話を引用し、「15人は1万5000ユーロでボート、エンジン2機、救命胴衣を購入した」と報じている。人身売買組織が捕まったかどうかは不明。
さらに12日深夜から13日未明にかけて複数の海岸で合わせて225人が保護された。この225人の出自は明らかにされていない。
チュニジアは深刻な政治・経済危機の真っただ中にあり、人口の3割以上が貧困ライン以下での生活を余儀なくされている。
一方、アフリカ北部リビアは2011年の革命以来混乱状態にあり、この地域の亡命を求める人々の出発点になっている。
海水温が高いこの時期は西欧への亡命を求める移民が増加する。
この地域の移民はチュニジアの海岸線から200kmほどしか離れていないイタリア南部を目指す。
人権団体などによると、チュニジアとリビアから出航する移民はこの2年、コロナウイルスの影響で減少したが、再び増加に転じているという。
欧州対外国境管理協力機関(Frontex)によると、今年1月から7月の間に地中海横断を試みた移民は4万2500人を超え、昨年同時期から44%増加したという。