◎ロシアはドイツで服役しているチェチェン共和国の殺人鬼クラシコフ受刑者を捕虜交換に加えるよう提案したとみられる。
2022年8月4日/ロシア、首都モスクワの裁判所、WNBAのグライナー選手(ロイター通信)

ホワイトハウスは4日、ロシアに違法薬物を密輸した容疑で起訴され懲役9年の有罪判決を受けたWNBAのグライナー(Brittney Griner)選手について、提案している捕虜交換に応じるよう促した。

国家安全保障会議(NSC)のカービー(John Kirby)報道官は会見で、「米国は真剣な提案を申し出ている」としたが、詳細は明らかにしなかった。

首都モスクワの裁判所は4日、大麻を密輸した容疑でグライナー氏に懲役9年と罰金100万ルーブルの有罪判決を言い渡した。

CNNニュースなどによると、ホワイトハウスはロシアの武器商人を釈放する代わりにグライナー氏らを解放するよう提案しているとみられる。

「死の商人」と呼ばれているボウト(Viktor Bout)受刑者は米国で懲役25年の刑に服している。

米国はボウト受刑者とグライナー氏および、スパイ容疑で収監された元米海兵隊員のウィラン(Paul Whelan)氏の交換を望んでいる。

ウィラン氏は2020年にスパイ容疑で懲役16年の有罪判決を言い渡された。

カービー報道官は記者団に対し、「2人は不当に拘束されている」と述べた。

またカービー氏は捕虜交換について、「ロシアが提案を受け入れることを強く望んでいる」とした。同氏によると、ホワイトハウスは数週間前にこの捕虜交換を提案したという。

しかし、ロイター通信によると、ロシアはドイツで服役しているチェチェン共和国の殺人鬼クラシコフ(Vadim Krasikov)受刑者を捕虜交換に加えるよう提案したとみられる。

クラシコフは昨年末、ドイツ裁で終身刑を言い渡された。

カービー氏は記者からクラシコフが釈放される可能性について問われ、「ない」と述べた。

グライナー氏は大麻の密輸を認めたうえで間違いを犯したとし、法を犯すつもりはなかったと証言した。

グライナー氏はロシアのウクライナ侵攻が始まる直前にモスクワの空港で拘束された。同氏はWNBAのオフシーズン中、ロシアのプロリーグでプレーしている。

逮捕後、ロシアはウクライナに侵攻し、グライナー氏の事件は米ロの外交の対象となった。

報道によると、グライナー氏の弁護士は控訴する意向を示したという。

バイデン大統領は4日、グライナー氏の有罪判決を「到底受け入れられない」と批判し、ロシアに釈放を求めた。

ブリンケン(Antony Blinken)国務長官も判決を批判し、「ロシアは旅行客や海外で働く人々の安全を脅かしている」とした。

ブリンケン氏は先週、侵攻後初めてロシアのラブロフ(Sergei Lavrov)外相と電話会談を行い、この問題について協議した。

両者は現在、ASEAN(東南アジア諸国連合)の会議に出席するため、カンボジアに滞在している。

2022年8月4日/ロシア、首都モスクワの裁判所、WNBAのグライナー選手(Evgenia Novozhenina/Pool/AP通信)
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