◎実弾射撃を含む訓練は現地時間12時に始まり、北部と南部エリアの訓練は台湾のEEZ(排他的経済水域)内で行われる予定だ。
中国人民解放軍の軍事演習(Getty Images)

中国人民解放軍は4日、台湾海峡で過去最大規模の軍事演習を開始した。

実弾射撃を含む訓練は現地時間12時に始まり、北部と南部エリアの訓練は台湾のEEZ(排他的経済水域)内で行われる予定だ。

台湾政府は演習を非難し、「中国はこの地域の現状を変えようとしている」と警告した。

中国はペロシ(Nancy Pelosi)米下院議長の訪台に激怒し、壊滅的な結果を招くと米国を威嚇している。

今回の演習は台湾への圧力と制裁のひとつと見なされている。共産党はペロシ氏の訪台を受け、台湾との貿易を一部制限した。

新華社通信によると、長距離実弾射撃訓練も行われる予定だという。

台湾は演習を「海上・航空封鎖に等しい」と非難。米国は無責任の極みであり、制御不能に陥る可能性があると警告した。

一部の専門家は軍事衝突に発展する可能性があると懸念しているが、台湾軍は慎重に対応するという意見が大勢を占めている。

台湾は3日、中国軍機を警戒するためにジェット機をスクランブル発進させ、大陸に近い金門島(きんもんとう)上空でドローンと思われる未確認飛行体を追い払うためにフレアを発射したと報告した。

また台湾政府はここ数日、いくつかの省庁がサイバー攻撃を受けていると明らかにした。

台湾は船舶に別のルートをとるよう求め、日本やフィリピンと交渉して代替航空ルートを確保しようとしている。

一方、日本政府は4日、軍事演習の一部エリアが日本のEEZと重なっていると懸念を表明した。

しかし、中国外務省の報道官はこの懸念を却下し、「中国は日本のEEZを認めていない」と主張した。

ペロシ氏は米下院議長として25年ぶりに台湾を訪問し、蔡英文(Tsai Ing-wen)総統らと会談。台湾に対する米国の揺るぎないコミットメントを再確認した。

中国はペロシ氏に訪台を控えるよう繰り返し要請し、「火遊びをした者は火で死ぬことになる」と警告した。

中国の王毅外相は3日、「米国はいわゆる民主主義を口実に中国の主権を侵害している」と非難し、次のように述べた。「火遊びをする者が良い結末を迎えることはなく、中国を怒らせた者は罰せられるだろう」

ペロシ氏は4日に韓国の尹淑烈(Yoon Suk Yeol)大統領らと会談し、この地域の安全保障、経済協力、軌道変動などについて協議する予定。

米国は1979年に中国と外交関係を結ぶ一方、台湾とも「強固な非公式関係」を構築してきた。

中国共産党は台湾を分離独立勢力に占領された省のひとつとみなしており、占領者から取り戻すと誓っている。

2022年8月4日/韓国、首都ソウルの大統領府前、米韓合同軍事演習に反対するデモ隊(Ahn Young-joon/AP通信)
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