◎ロシア軍は制圧を目指す東部ドネツク州以外への無差別ミサイル攻撃を続けている。
2022年7月22日/トルコ、イスタンブール、ウクライナ産穀物の輸出を再開するための協定調印式(Khalil Hamra/AP通信)

ウクライナ政府は22日、ロシア軍が東部の学校と住宅地を空爆し、民間人少なくとも3人の死亡を確認したと発表した。

ロシア軍は制圧を目指す東部ドネツク州以外への無差別ミサイル攻撃を続けており、北東部ハルキウ州で21日に確認された空爆では民間人少なくとも3人が死亡、23人が負傷している。

ロシアとウクライナは22日、トルコのイスタンブールでウクライナ産穀物と肥料の海上輸送を再開する協定に調印した。

ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領はビデオ演説で協定を歓迎し、「この取引が世界中で大混乱を引き起こしている食料危機と飢餓を防ぐと信じている」と述べた。

一部の専門家はウクライナ南部の港に滞留している推定2000万トンの穀物を輸出しても、貧しい国々で飢えている数千万人を救うことはできないと指摘している。

東アフリカ地域の地域経済共同体「政府間開発機構(IGAD)」は22日、東アフリカの市民推定5000万人が干ばつや燃料価格の高騰がもたらした食料不足に直面し、子供や女性を含む数十万人が飢餓状態にあると警告した。

ロシアのウクライナ侵攻は世界規模の燃料価格高騰を引き起こし、開戦から5カ月近くたった今も東部の激戦が衰える兆しは見えない。

ロシア外相は今週、東部ドンバス以外の地域も視野に入れていると表明し、南部の港湾都市を含む広い範囲を併合すると示唆した。

ウクライナ大統領府によると、東部クラマトルスクの学校が砲撃で破壊され、民家少なくとも85戸が損壊したという。救助隊は学校から民間人3人の遺体を回収したと報告している。

ドネツク州のキリレンコ(Pavlo Kyrylenko)知事は22日、国営メディアのインタビューの中で、「学校や病院に対する攻撃は痛烈で、ロシア軍は州全域を焼け野原にするつもりだ」と非難した。

またキリレンコ氏は州内にとどまっている住民に改めて避難を呼びかけた。

ロシア国防省はクラマトルスクへの砲撃について、「学校に拠点を置くウクライナ軍施設を破壊し、兵士300人以上を殺害した」と主張している。

また同省によると、ロシア軍は南部ミコライフ州のウクライナ軍の兵器保管施設を破壊したという。

ロシア軍は7月5日~20日の間に、米国がウクライナに供与した高軌道ロケット砲システム「ハイマース」を4基破壊したと主張している。米国は現在、ハイマースを少なくとも12基ウクライナに供与している。

AP通信は米国防総省高官の話を引用し、「ロシアはまだハイマースを1基も破壊していないが、運が良ければ近いうちに破壊できるかもしれない」と報じている。

同省は22日、ウクライナに対する2億7000万ドル相当の兵器支援の一環として、ハイマース4基を追加供与すると発表した。

声明によると、この支援には最大580機の小型戦術無人機「フェニックスゴースト(通称神風ドローン)」、砲弾3万6000発、GMLRSと呼ばれる誘導ロケットが含まれる。

ウクライナ軍は西側の兵器やドローンを駆使してロシア軍の戦車や大砲を破壊してきた。

専門家によると、ハイマースを含む西側の長距離兵器やドローンの精度はロシアのそれより高く、ウクライナ軍の防衛任務を支えているという。

一方、東部ドニプロのウクライナ軍は、ロシア軍の空爆で市内の学校3校や住宅地が破壊されたと報告した。ウクライナ公共放送によると、この空爆で住民18人が負傷したという。

ドニプロペトロウシク州のレズニチェンコ(Valentyn Reznichenko)知事は22日、民間人に対する攻撃を「卑劣極まりない」と糾弾した。

2022年7月21日/ウクライナ、首都キーウの葬儀場(Andrew Kravchenko/AP通信)
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