◎ロシア国営ガスプロム社はドイツなどに天然ガスを供給しているノルドストリーム1の定期検査を行っている。
ロシアのプーチン(Vladimir Putin)大統領は19日、EUへの天然ガス供給が減少している原因は西側諸国にあり、今後も減少し続ける可能性があると警告した。
ロシア国営ガスプロム社はドイツなどに天然ガスを供給しているノルドストリーム1の定期検査を行っている。これにより、ドイツ向けのガス供給量は従来の約40%に減少した。
EU加盟国はロシアがガスの弁を閉じ、欧州の経済に大打撃を与えようとしている警告し、新たなLNG(液化天然ガス)取引やパイプラインの建設を急いでいる。
EU最大の工業国であるドイツのガス供給減はEU全体に深刻な影響を与える可能性がある。
プーチン氏はイランの首都テヘランで最高指導者のハメネイ(Ali Khamenei)師やトルコのエルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領などと会談した。
プーチン氏はロシアメディア向けの記者会見で、「ノルドストリーム1のタービンが速やかに返却されなければ、ドイツの供給量は現在の日量6000万㎥から3000万㎥(従来の20%)に減少するだろう」と述べた。
またプーチン氏は未開通のパイプライン「ノルドストリーム2」の運用を開始する可能性もあると示唆したが、「ロシア国内のガス需要を維持することが重要であり、ノルドストリーム2を運開させてもフル供給することは難しいだろう」とした。
プーチン氏は対ウクライナ制裁の一環としてロシア産原油に価格上限を設定するという西側の計画は世界の原油市場を不安定にし、価格高騰に拍車をかけると警告した。「西側の指導者たちはロシアの原油に上限を設定するというおかしな話し合いを続けているようです...」
EUは年内にロシア産原油と石炭の輸出をほとんど停止する予定だが、天然ガスは対象外であり、代替供給確保には数年かかると見積もっている。
ガスプロム社は先月、独シーメンス社がカナダに送ったパイプラインのタービンを速やかに返却するよう要請している。返却は西側の対ロシア制裁の影響で不可能となっていたが、カナダとドイツ両政府は返却することで合意している。
しかし、プーチン氏は、「ガスプロム社はまだ必要書類を受け取っていない」と説明した。
プーチン氏によると、ガスプロム社は7月下旬から別のタービン修理作業を予定しており、それまでに返却されなければ、ノルドストリーム1の修理は先延ばしされるという。
またプーチン氏はEUへのガス供給が難しくなった別の理由として、「ウクライナ当局がロシア領内(ルガンスク・ドネツク両人民共和国支配地)を経由するパイプラインを閉鎖したため」と説明した。