◎首都ポルトープランスでは先週末頃から「G9&Family」と「G-Pep」と呼ばれる2つのギャングが市内で衝突している。
2021年10月22日/ハイチ、首都ポルトープランス、「G9&Family」の戦闘員たち(Matias Delacroix/AP通信)

国連安全保障理事会は15日、ギャングの暴力事件に揺れる中米ハイチへの武器販売を禁止する決議案を全会一致で採択した。

この決議は「非国家」と呼ばれる人々への銃火器や弾薬の販売を禁止するとしている。

中国は全面禁輸を求めたが、拒否された。

AP通信によると、首都ポルトープランスでは先週末頃から「G9&Family」と「G-Pep」と呼ばれる2つのギャングが市内で衝突しているという。

警察はこれまでに少なくとも89人の死亡を確認したと発表。援助機関は焼死体やバラバラに切り刻まれた遺体を確認し、ポルトープランスへのアクセスが困難になっていると報告した。

国連は採決の前に、7月8日~12日の間に234人がギャングの暴力で死傷したと明らかにした。

国連の報道官は記者団に対し、「犠牲者のほとんどがギャングの戦闘員ではなく、対立するギャングに関与したとして狙われた」と語った。

また国連は性的暴行被害も多数寄せられているとした。

この決議案は米国とメキシコが共同提出した。これには、ギャングの資産凍結や渡航禁止などの制裁も含まれる。

また、国連ハイチ安定化ミッション(MINUSTAH)の任務期間も1年延長された。

ハイチのギャングは何年も前から社会問題になっていたが、昨年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺事件が治安の悪化と混乱に拍車をかけた。

市民はギャングの暴力を抑えられないアンリ(Ariel Henry)政権に抗議し、各地で道路を封鎖したり食料を略奪したりしている。

AP通信によると、ポルトープランス郊外にある主要燃料ターミナルは先週の暴力事件で操業を停止したという。地元メディアはギャングに占領されたと報じているが、事実か否かは不明。

地方都市のガソリンスタンドは数カ月前に営業を停止し、ロシアのウクライナ侵攻と一連の暴力でガソリンをスタンドに供給することはさらに難しくなった。

この騒乱と貧困の結果、数万人のハイチ人が隣国ドミニカや他の中米諸国に逃亡したと推定されている。

2021年11月4日/ハイチ、首都ポルトープランス(Getty Images/AFP通信)
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