◎何万もの抗議者が首都コロンボを行進し、ラジャパクサ一族の不作為がもたらした経済危機を非難した。
スリランカのラジャパクサ(Gotabaya Rajapaksa)大統領は9日、デモ隊が大統領府を占領し、首相公邸に火を放ったことを受け、辞意を表明した。
報道によると、ラジャパクサ氏とウィクラマシンハ(Ranil Wickremesinghe)首相は安全な場所に避難し、無事だという。
何万もの抗議者が首都コロンボを行進し、ラジャパクサ一族の不作為がもたらした経済危機を非難した。
ラジャパクサ氏は7月13日に辞任する予定。ウィクラマシンハ氏も辞任の意向を示している。
国会議長は声明で、「大統領は権力の平和的な移譲を確実にするために辞任を決めた」と発表した。
大統領府に乗り込んだ男性はAP通信の取材に対し、「ラジャパクサの資産を没収し、責任を取らせる必要がある」と語った。「あの男をもっと早く逮捕していなれば、こんなことにはなりませんでした。あの男は世界一の愚か者です」
首相公邸は9日午後に炎上した。SNSには放火の様子を記録した動画や写真が複数共有されている。
大統領府を占領したデモ隊は執務室でくつろぎ、芝生広場でダンスを踊り、プールに飛び込んだ。
スリランカは現在、隣国インドの信用枠40億ドルで何とか食いつないでいる。政府は今年返済期限を迎える対外債務70億ドルの返済を停止し、債務不履行に陥った。
国の信用は外貨準備の枯渇と債務不履行で失墜し、信用取引で燃料を販売してくれる取引先は激減した。政府は石油貯蔵施設が空になりかけているとして、燃料の一般販売を停止している。
ロイター通信は政府筋の話を引用し、「ラジャパクサ氏はデモ隊が行動を開始する前に安全な場所に避難した」と報じている。避難場所は明らかにされていない。ウィクラマシンハ氏の所在地も不明。
デモ隊は9日早朝、大統領府近くのバリケードに突進し、警察と衝突した。警察は放水砲や催涙ガス弾で応戦したが、デモ隊は複数のルートから公邸に押し寄せ、侵入に成功した。
デモ隊は公邸内でタバコを吸い、執務室の椅子に座り、ダンスを踊り、プールに飛び込み華麗な泳ぎを披露した。
首相府も占領され、同じような光景が見られた。
首相府の報道官は9日、ウィクラマシンハ氏は挙国一致内閣を発足させるために辞任すると発表した。
しかし、声明発表後まもなく、首相公邸が炎上する動画が拡散し始め、混乱は頂点に達した。報道によると、ウィクラマシンハ氏は公邸をほとんど利用せず、私邸に住んでいるという。
多くの専門家がラジャパクサ氏とウィクラマシンハ氏の辞任を歓迎する一方、野党が進行中の問題を解決できるという保証はなく、全政党と国民の力を結集する必要があると指摘している。
スリランカの債務はラジャパクサ氏率いる前政権の「後先考えない無謀な減税」「外貨を獲得できない無駄な施設への投資」「意味不明な政策」、中国の「債務トラップ」の影響で膨れ上がり、債務不履行に陥った。