◎石炭火力発電はチェコの総発電量の50%近くを占めている。
2022年2月23日/チェコ共和国の石炭火力発電所(Getty Images/PAメディア)

チェコ共和国政府は30日、ロシア・ウクライナ戦争がもたらしたエネルギーと電力危機に対処するため、採炭事業を停止する計画を撤回した。

財務省の報道官は30日の記者会見で、「国有会社ODKは北東部の採炭事業を少なくとも来年末まで延長し、さらに2025年まで延長する可能性について検討している」と明らかにした。

地元メディアによると、同国は今年中に採炭事業を停止する予定だったが、欧州の石炭火力需要が高まったことなどを受け、事業継続を決めたという。

他のEU諸国もロシア産天然ガスの供給削減を受け、LNG火力発電の出力を抑えるために石炭火力発電所の出力を上げている。

気候活動家は石炭火力への回帰が欧州の気候変動目標を妨げると非難しているが、多くの国が背に腹は代えられないとして石炭火力を推進し始めている。

ロシア国営ガスプロム社はフランス、ポーランド、ブルガリアなどへの天然ガス供給を停止し、ドイツ、イタリア、オーストリアなどへの供給量を削減している。

OKDの最高経営責任者(CEO)はウェブサイトの声明で、「同社は2023年に130万トンの石炭を採掘する予定」と述べている。

そのほとんどが発電と家庭用暖房に使われる予定である。石炭火力発電はチェコの総発電量の50%近くを占めている。

EU加盟27カ国は対ロシア制裁の一環として、8月からロシア産石炭の輸入を禁止することに合意している。

チェコ政府は2033年までに国内の石炭火力発電所を廃止し、原子力発電所の割合を大幅に増やすとしている。

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