◎ウクライナ空軍は25日、ロシアの長距離爆撃機が初めてベラルーシ領空からウクライナに侵入し、空爆を行ったと発表した。
2022年6月25日/ウクライナ、東部ドンバス、避難列車の出発を待つ夫婦(Efrem Lukatsky/AP通信)

ロシア国防省は25日、ロシア軍はウクライナ東部ルハンシク州のセベロドネツクと周辺集落を完全に制圧したと発表した。

ルハンシク州知事はウクライナ軍がセベロドネツクから撤退しつつあることを認め、別の強固な陣地に移動すると説明している。

ウクライナ軍はルハンシク州のアゾト化学工場とセベロドネツクの対岸の都市リシチャンスクでロシア軍と対峙している。

一方、ウクライナ空軍は25日、ロシアの長距離爆撃機が初めてベラルーシ領空からウクライナに侵入し、空爆を行ったと発表した。

この空爆はプーチン(Vladimir Putin)大統領とベラルーシのルカシェンコ(Alexander Lukashenko)大統領の会談に先立ち行われた。プーチン氏は会談後、ベラルーシに核弾頭を搭載できる短距離弾道ミサイル「イスカンデル(Iskander)」を配備すると発表した。

ルハンスク州のガイダイ(Sergiy Gaiday)知事は25日、SNSの投稿でロシア軍と親ロシアの分離主義者がセベロドネツクを占領し、南方向からリシチャンスクを包囲しようとしていると説明した。

リシチャンスクを奪われれば、ウクライナはルハンシク州全土を失うことなる。

ロシア国営メディアはルガンスク人民共和国報道官の話を引用し、「ロシア軍はリシチャンスクに入り、街の中心部でウクライナ軍と戦っている」と報じた。

ロシア軍の砲撃と空爆でセベロドネツクは廃墟と化し、住民のおよそ9割が市外に脱出した。

ルハンシク州のウクライナ軍は数百人の避難民とともに、街のはずれにあるアゾト化学工場に立てこもっている。なお、ガイダイ知事によると、セベロドネツクから撤退した部隊の一部はリシチャンスクの防衛任務にあたる予定。

西側の軍事アナリストは、「セベロドネツクを占領したロシア軍は休むことなくリチャンスクに攻め込む準備を進めるように見える」と指摘している。

一方、ポーランド国境に近い西部リビウ州の知事は25日、黒海から発射された巡航ミサイル4発が市内の軍施設に命中したとSNSに投稿した。

コジツキー(Maksym Kozytsky)知事は詳細を明らかにしなかったが、リビウ州には外国の志願兵を訓練する軍事基地や西側諸国が供与した兵器を保管する施設があると伝えられている。3月に行われたリビウの基地に対する空爆では35人が死亡した。

ロシア軍は中西部ジトーミルにもミサイルを立て続けに撃ち込み、当局者によると、ウクライナ兵1人が死亡したという。

西部リブネ州の知事も25日、ロシア軍の巡航ミサイル2発が自動車修理工場に命中し、少なくとも3人が死亡、4人が負傷したと報告した。コバリ(Vitaliy Koval)知事はSNSに破壊された工場の写真を投稿している。

さらにウクライナ軍は、クリミア半島から発射された巡航ミサイル9発が南部ミコライフ州に直撃したと報告した。死傷者の有無は明らかにされていない。

北部地方ではベラルーシ領内から離陸したとみられるロシア軍の爆撃機が空爆に参加した。

ウクライナ軍は25日の声明で、ロシアの爆撃機が初めてベラルーシ領空からウクライナに侵入したことについて、「ロシアはベラルーシを戦争に引きずり込もうとしている」という見方を示した。

ベラルーシ軍は自国領内でロシア軍の補給などを支援しているとみられるが、ウクライナ国境は越えていない。

ウクライナのゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は25日のビデオ演説で、「ロシアはこの戦争は5日で終わると予想していたが、5カ月目に入っても戦果を上げられないことに焦り、ベラルーシからミサイルショーを行った」と述べた。「ベラルーシを引きずり込もうとする企ては、ロシアが焦っている証拠です...」

2022年6月25日/ロシア、サンクトペテルブルグ、プーチン大統領とベラルーシのルカシェンコ大統領(Mikhail Metzel/Sputnik/Kremlin/Pool)
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