◎民主党員と共和党員で構成される特別委員会は、トランプ氏がクーデター未遂に関わったことを明確にし、責任を取らせるとしている。
米議会下院で22日、トランプ(Donald Trump)前大統領の支持者が引き起こした昨年1月のDC暴動公聴会4日目が開催された。
アリゾナ州議会議長は特別委員会に対し、「嫌がらせは現在も続いている」と語った。
ジョージア州の選挙管理当局者は「ドナルド・トランプに名指しされ、外出するのが怖くなった」と説明した。
民主党員と共和党員で構成される特別委員会は、トランプ氏がクーデター未遂に関わったことを明確にし、責任を取らせるとしている。
特別委員会は2020大統領選の焦点となったジョージア州とアリゾナ州の政府高官および関係者から話を聞いた。
バイデン(Joe Biden)大統領は共和党有利の両州でトランプ氏に勝利している。
アリゾナ州下院議長のバウワーズ(Russell Bowers)氏は特別委員会に対し、「当時、2万件を超える電子メールと数万件のボイスメールやテキストを受け取り、事務所は飽和状態となった」と説明した。
またバウワーズ氏は共和党支持者による脅迫は今も続いており、自宅近くに集まった抗議者に「小児性愛者」と呼ばれ、何度も中傷されたと語った。「不愉快でした。本当に不愉快でした」
バウワーズ氏はトランプ氏の弁護士であるジュリアーニ(Rudy Giuliani)氏に、「我々は多くの理論を持っているが、証拠がないだけだ」と言われたと語った。
ジョージア州フルトン郡の選挙事務員として働く中で陰謀に巻き込まれたモス(Shaye Moss)氏とその母親も公聴会に招かれた。
トランプ氏はジョージア州での敗北がほぼ確実になると、ラフェンスペルガー(Brad Raffensperger)州務長官に「1万1780票を見つけてください」と懇願した。「現在の票差はたった1万1779票です。分かっているでしょう。私は1万1780票を見つけたいんです!」
トランプ氏と共和党支持者はジョージア州の選挙管理当局が不正に関与したと主張した。
トランプ氏は当時の音声記録でモス氏を「票詐欺のプロ、ハスラー」と呼び、モス氏と母親が民主党を助けるために不正を働いたと主張した。
モス氏の母親は議員らに「私たちはすべてを失った」と語った。「合衆国大統領に狙われる気持ち、理解できますか?」
モス氏は多くの殺害予告に直面し、「人種差別を含む嫌がらせで人生がひっくり返った」と語った。「名刺を渡せなくなりました。自分の名前を知られたくありません。殺されかもしれませんから」
モス氏は極度のストレスと恐怖で外出できなくなり、体重が27kgも増えたと説明した。
またモス氏は、「トランプの支持者が祖母の自宅に現れ、娘を探している。あの女を逮捕する、と言った」と語った。
ジョージア州選挙管理当局のスターリング(Gabriel Sterling)氏はトランプ氏の主張を荒唐無稽と一蹴した。「選挙詐欺の主張はシャベルを使って海を空にするようなものです」
スターリング氏の上司であるラフェンスペルガー州務長官はトランプ氏の「脅迫」について説明した。「彼らは1万315人の死者が投票したと主張しました。徹底的に調査した結果、氏名の誤りで投票した人は4人であることが判明しました」
またラフェンスペルガー氏はトランプ陣営が主張した未成年者や未登録者、受刑者などが違法に投票したという主張もすべて退けられたと強調した。「私たちはトランプ陣営が主張した疑惑をひとつずつ片付けていきました...」
公聴会議長のトンプソン(Bennie Thompson)議員は証言を聞いた後、「いくつかの重要な州選挙区の管理者がドナルド・トランプによる民主主義の転覆を防いだ」と述べた。
副議長のチェイニー(Liz Cheney)議員は、「米国を陰謀論と凶悪犯がはびこる暴力の国にしてはならない」と述べた。