◎ラマポーザ大統領は自身の農場に隠されていた盗難外貨数百万ドルの存在を隠蔽したと告発され、尻に火が付いた。
南アフリカの地元メディアは17日、ラマポーザ(Cyril Ramaphosa)大統領が関与したとみられるスキャンダルについて、「説明責任を果たし、事実であれば速やかに辞任しなければならない」と報じた。
ラマポーザ氏は自身の農場に隠されていた盗難外貨数百万ドルの存在を隠蔽したと告発され、尻に火が付いた。
この告発は汚職の撲滅を公約に掲げるラマポーザ氏の評判をひどく傷つけている。
地元メディアはこのスキャンダルを米国のウォーターゲート事件および、ジョンソン英首相が関与したパーティーゲート事件をもじって、「ファームゲート事件」と呼んでいる。
元国家安全保障局長官のフレイザー(Arthur Fraser)氏は今月1日、ヨハネスブルグの警察署に書簡を提出し、ラマポーザ氏の農場に400万ドル以上の盗難外貨が隠されていたと刑事告発した。
フレイザー氏によると、米ドルを盗んだ強盗は拘束され、ラマポーザ氏から口止め料を受け取ったという。
フレイザー氏は書簡の中で、「ラマポーザ氏は警察と税務当局に事件を届けず、隠蔽した」と述べている。
またフレイザー氏は隠蔽を裏付ける写真、映像、銀行口座の情報なども合わせて警察に提出した。強盗は2020年2月に起きたとされる。外貨の出所は明らかにされていない。
フレイザー氏は与党「アフリカ民族会議(ANC)」の反ラマポーザ派閥出身で、ズマ(Jacob Zuma)前大統領の汚職を追及し、退陣に追い込んだひとりである。
ラマポーザ氏は自身の牧場で外貨が見つかったことは認めたが、警察当局に事件を報告し、そこで見つかった外貨は牧場の運営で得たものであり、「いかなる犯罪行為にも関与していない」と説明した。
しかし、ラマポーザ氏は400万ドルもの外貨を牧場に隠していた理由や、適切に確定申告を行ったかなどといった質問には答えていない。
ラマポーザ氏は先週行った記者会見でもこのスキャンダルに関する質問を何とかかわし、疲れ切った表情を見せた。
ラマポーザ氏は記者団に対し、「この問題については正当な手続きを踏んでもらいたい」と述べ、警察の捜査に影響を与える恐れのある質問には答えないとした。
野党はこの問題を厳しく追及し、先週の定例会議でラマポーザ氏に罵声を浴びせ、辞任を要求した。
また野党は今週、ラマポーザ氏に「サバティカル休暇(数か月から1年程度の長期休暇)」を命じ、特別委員会を発足させ調査を行うよう提案したが、この議案は否決された。
警察はまだフレイザー氏の告発にどのように対処するか発表していない。一部の地元メディアは警察筋の情報を引用し、「数日中に何かしらの動きがある」と報じている。