◎13日に証言した共和党陣営は、トランプ氏の敗北を受け入れた派閥とそうでない派閥に分かれた。
2022年6月13日/ワシントンD.C.議会議事堂、2021年1月6日のDC暴動事件の下院公聴会(Susan Walsh/AP通信)

米議会下院で13日、トランプ(Donald Trump)前大統領の支持者が引き起こした昨年1月のDC暴動公聴会2日目が開催された。

前司法長官のバー(William Barr)氏は証言映像の中で当時の様子を語り、「ドナルド・トランプは現実から切り離されていた」と説明した。

バー氏の証言は大統領選の不正を訴えるトランプ氏と当時の政府高官の間に深い溝があったことを物語っている。

13日に証言した共和党陣営は、トランプ氏の敗北を受け入れた派閥とそうでない派閥に分かれた。

民主党が主催する特別委員会はトランプ氏がクーデター未遂に深く関与したと非難し、責任を追及するとしている。

注目を集める証言者のひとりで、トランプ氏の選挙キャンペーンを率いたステピエン(Bill Stepien)元選対本部長は妻の陣痛が始まったため出席せず、代わりに証言映像を提出した。

ステピエン氏は証言の中で、「トランプ氏の側近は当時、勝利宣言しないよう助言していた」と明らかにした。

ステピエン氏によると、一部の側近はトランプ氏に負けを伝えたが、別の派閥がこれを拒否したという。

ステピエン氏は、「負けを認めない派閥は、首長であるジュリアーニ(Rudy Giuliani)元NY市長にちなんでルディのチームと呼ばれるようになり、ジュリアーニ氏はトランプ陣営の中で最も声高に選挙は盗まれたと主張していた」と述べた。

もう一人の証人であるトランプ氏の元顧問ミラー(Jason Miller)氏は、「ジュリアーニ氏は選挙当日、酩酊していたように見えた」と証言した。

ミラー氏によると、ジュリアーニ氏は結果が確定していない段階でトランプ氏に「勝利を宣言し、我々が完勝したと言おう」と提案したという。

ジュリアーニ氏の弁護士は13日、広報を通じて声明を発表し、「ミラー氏がなぜそのような誤った主張をするのか分からない」と述べ、酩酊疑惑も合わせて否定した。

トランプ氏に勝利宣言すべきでないと進言した人物の中にはバー氏も含まれる。

バー氏は証言の中で、負けを認めない派閥が主張した投票機や投票用紙の不正を「クレイジー」と呼び、「これらの主張には根拠がないとトランプ氏に繰り返し言った」と説明した。

またバー氏は、「トランプ氏は我々の懸念を認めず、不正の主張を広め続けた」と証言した。さらに、現職大統領の主張に「私はやる気をなくした」と述べている。「彼は現実を見失い、現実から切り離されてしまったのだ、と思いました」

特別委員会はトランプ氏の誤った主張がDC暴動につながったことを証明し、トランプ氏に責任を負わせたいとしている。

民主党のロフグレン(Zoe Lofgren)下院議員はトランプ氏について、「彼と彼の最も近いアドバイザーは、これらの主張が虚偽であることを知っていた」と述べた。「彼らは知っていてなお、それを売り込み続けたのです...」

同委員会は15日と16日にも公聴会を開く予定。

同委員会の最大の課題は、共和党支持者に民主党の主張を認めてもらうことである。CBSニュースが最近行った世論調査によると、共和党支持者のほぼ半数が、DC襲撃に関与した者を愛国者と考えている。

トランプ派はバイデン(Joe Biden)大統領を認めておらず、説得は難しいように思える。議会議事堂周辺に集まった共和党支持者は「目覚めよ!連邦のクズ」と書かれた看板を掲げて特別委員会に抗議した。

バイデン氏の支持率は右肩下がりで、AP通信などの世論調査によると、民主党は11月に予定されている中間選挙で上下両院の多数派を失う可能性があるという。

2022年6月13日/ワシントンD.C.議会議事堂、2021年1月6日のDC暴動事件の下院公聴会で公開された証言(House Select Committee/AP通信)
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