◎採決の結果、保守党員211人が信任に、148人が不信任に投票した。
イギリスのジョンソン(Boris Johnson)首相は6日、与党保守党の「パーティーゲート不信任投票」を生き延び、政権を維持すると誓った。
ノルマンディー上陸作戦の決行から78年を記念する式典がフランスで行われる中、連合軍のリーダーであるイギリスの首相は歴史的なパーティーゲート事件でサバイブに成功した。しかし、保守党員の4割がジョンソン氏の退陣を支持したため、求心力低下は否めないだろう。
ジョンソン政権はコロナウイルスの制限期間中に複数回パーティーを主催し、ワインを飲み、ジョンソン氏の誕生日を祝った容疑で告発された。
イギリスのメディアはこのスキャンダルを米国のウォーターゲート事件をもじってパーティーゲート事件と呼んでいる。
採決の結果、保守党員211人が信任に、148人が不信任に投票した。
弱体化したように見えるジョンソン氏は投票を「納得のいく結果」と呼び、「保守党は今こそ団結すべきだ」と訴えた。「前に進む時が来ました。国民が本当に必要だと思う問題に対処しましょう!」
ほとんどの政治評論家が「ジョンソン氏の後を継ぐ明確な候補はいない」と指摘し、決議案は反対多数で否決されるだろうと予測していた。
しかし、不信任に投票した党員は4割を超え、過去数十年で保守党を最大の勝利に導いたジョンソン氏の求心力が低下したことは間違いない。
前任のメイ(Theresa May)首相は2018年12月の不信任投票でジョンソン氏以上の支持を集めたが、半年後に辞任に追い込まれた。
ジョンソン氏は2019年の就任以来、様々な問題に対処してきた。EU離脱はイギリス経済を疲弊させ、コロナの感染拡大はパーティーゲート事件につながり、進行中のインフレは国民を痛めつけている。
エリザベス女王のプラチナジュビリーを祝う長期休暇を含む10日間の休会後、保守党の不満は爆発した。またジョンソン氏と夫人はセントポール大聖堂で3日に行われた礼拝に到着した際、野次馬から罵声を浴びた。
保守党のブレイティ(Graham Brady)議員は6日、少なくとも54人の党員からジョンソン氏の不信任を求める書簡を受け取ったと明らかにした。
BBCニュースによると、ジョンソン氏は投票に先立ち、庶民院の一室で演説し、支持を呼びかけたという。「私はあなたたちを再び勝利に導きます」
ジョンソン政権の閣僚は1票差でも政権に留まると誓っていた。
ザハウィ(Nadhim Zahawi)教育相は6日、ジョンソン氏は見事に勝利したと述べ、「今すぐけじめをつけましょう」と促した。
投票は無記名で行われている。
ジョンソン氏がクビになった場合の後継候補のひとりであるトラス(Liz Truss)外相も次のようにツイートしている。「同僚たちが首相を支持してくれたことを嬉しく思います。私も100%首相を支持しています。さあ、仕事に取り掛かりましょう!」
ジョンソン氏と首相官邸スタッフは2020年と2021年の厳しいコロナ制限期間中に複数の違法オフィスパーティーを主催し、ワインなどを飲んだ。
ジョンソン氏は2020年6月のサプライズ誕生日パーティーに出席したことで50ポンド(約8000円)の罰金を科され、謝罪した。イギリスの首相が在職中に法律違反で罰金を科されたのは初めてである。
ロンドン警視庁は罰金を科したと個人を明らかにしていないが、スナック(Rishi Sunak)財務相とジョンソン氏の妻キャリー(Carrie Johnson)氏は罰金を払ったと認めている。
野党労働党はジョンソン氏に引退を勧告したが、ジョンソン氏はこの訴えを退け、「全責任を取るが辞任はしない」と主張した。
一部の保守党員は今けじめをつけなければ、2024年までに行われる次の議会選で労働党に敗れる可能性があると懸念している。
ジョンソン氏はさらなる困難に直面することになりそうだ。ウクライナ戦争、ブレグジットのアイルランド議定書をめぐるEUとの確執、インフレ、すべてが政府に重くのしかかっている。
最新の世論調査によると、労働党の支持率は保守党を上回っており、2つの補欠選で勝利する可能性が高いという。