◎リバプールFCのサポーターは5月28日の決勝戦前に機動隊の催涙ガスと唐辛子スプレーを浴び、試合でもレアル・マドリードに敗れた。
フランス政府は1日、スタッド・ド・フランスで行われたチャンピオンズリーグ決勝の取り締まりと警察の対応を擁護した。
リバプールFCのサポーターは5月28日の決勝戦前に機動隊の催涙ガスと唐辛子スプレーを浴び、試合でもレアル・マドリードに敗れた。
フランスのダルマナン(Gerald Darmanin)内相は1日に行われた上院委員会の中で、「機動隊はもっとうまく対処できたと思う」と述べる一方、問題を起こしたのはリバプールサポーターだけだったと指摘した。
世界で最も熱狂的なサポーターとして知られるリバプールサポーターは仏当局の強引な取り締まり、混乱、運営の問題を指摘している。
サポーターたちはチケット詐欺を非難し、「偽チケットが横行したのはリバプールFCの管理不備」と指摘した仏政府に反発した。
UEFA(欧州サッカー連盟)は欧州の議員などで構成される専門家委員会を発足させ、この問題を調査するとしている。
ダルマナン氏は5月30日の会見で、「約6万2000人のリバプールサポーターが提示したチケットのうち、3分の2以上が偽物だった」と報告していた。
ダルマナン氏は上院委員会の中で、「チケット詐欺に遭ったと思われる人々を支援するために、仏警察を来週、イギリスとスペインに派遣する」と述べた。
ダルマナン氏は委員会から当日の警備について質問されると、「決勝戦に関するネガティブなイメージは我が国のプライドを傷つけるものである」と批判した。「最悪の事態は避けられましたか?その通りです。もっとうまくできたのではないか?間違いです。機動隊は最悪の事態を防ぎました」
一方、ダルマナン氏は警察の監視委員会から「機動隊が催涙ガスを不当に使用した」という2件の申し立てを受けたと明らかにし、謝罪した。
マクロン(Emmanuel Macron)大統領はダルマナン氏を全面的に支持すると表明している。大統領府によると、マクロン氏は完全に独立した調査で問題を速やかに解決するよう求めたという。
しかし、フランスの地元紙はマクロン氏がダルマナン氏に激怒していると予想した。仏週刊紙「カナール・アンシェネ(Le Canard Enchaine)」 はマクロン氏がスタジアムの事件について、「恥ずかしい」「フランスにふさわしくない」と考えている風刺画を掲載した。
フランスは2024年にパリ五輪を主催する予定である。
リバプールのワーナー(Tom Werner)会長は5月31日、「UEFAチャンピオンズリーグ決勝は世界のスポーツ界で最も素晴らしいスペクタクルなイベントのひとつだが、今回は最悪のセキュリティ事故に発展してしまった」と苦言を呈した。
リバプールサポーターはキックオフを心待ちにしていたが、代わりに催涙ガスと唐辛子スプレーを浴び、敗戦のショックで涙を流した。
英BBCニュースによると、一部のリバプールサポーターが地元のギャングに狙われ、携帯電話を盗まれたり、女性が痴漢被害に遭ったりしたという。
AFP通信は当局者のコメントを引用し、「試合当日、スタジアムの入り口ゲートで偽造チケット2800枚を確認した」と報じている。
フランスサッカー連盟は、チケットを持たない約3万5000人がスタジアム周辺に殺到し、混乱を招いたと主張した。
一部の専門家は「スタジアム周辺の警備員が足りなかったのは明らかであり、この失敗を次に活かす必要がある」と指摘している。
レアルサポーターは5月29日にマドリードで行われた凱旋パレードで選手を称えた。