◎スウェーデンとフィンランドのNATO加盟には現加盟30カ国の合意が必要。
2022年5月25日/トルコ、首都アンカラ、トルコ代表団とスウェーデン代表団(Turkish Presidency/AP通信)

トルコ政府高官は25日、スウェーデンとフィンランドの両代表団と会談した後の記者会見で、両国が具体的な措置を取らない限りNATO加盟には合意しないと語った。

会談を主催した大統領補佐官は、「トルコの安全保障上の懸念に対する具体的な措置が取られなければ、プロセスは進展しないと明確にした」と説明した。

スウェーデンとフィンランドは先週、NATO本部に加盟申請書を提出した。

両国の加盟には現加盟30カ国の合意が必要である。

トルコのエルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領は両国がテロ組織に指定されている「クルド労働者党(PKK)」やその他のクルド人武装勢力を支援していると不満を表明し、問題が解消されない限りNATO加盟は認められないとしている。

米国やEUを含む複数の西側諸国もPKKをテロ組織に指定している。

オスマン帝国時代から続くトルコ人とクルド人の紛争は1980年代に本格化し、数万人が死亡したと考えられている。

エルドアン氏は今週、「スウェーデンとフィンランドはトルコに武器輸出を制限を課し、テロリストの引き渡しを拒否している」と非難した。

スウェーデンとフィンランドの代表団は大統領補佐官や外務副大臣らと会談した。AP通信によると、スウェーデン代表団は国防相、フィンランド代表団は外務次官が率いている。

AP通信はトルコ政府関係者のコメントを引用し、「両国はトルコに対する武器輸出制限の解除に前向き」と報じている。

トルコ代表団はスウェーデンに28人、フィンランドに12人の「テロ容疑者」を引き渡すよう要求し、「引き渡さないという法的根拠はない」とした。

スウェーデンのアンデション(Magdalena Andersson)首相は25日、欧州理事会のミシェル(Charles Michel)議長との会談後、記者団に、「トルコとの交渉で浮上した問題を明確にしたい」と語った。「私たちはテロ組織を支援したり、資金を提供したことはありません...」

アンデション氏は同日、エストニア首相とも会談し、「安全保障を強化することはとても重要」と記者団に語った。

ミシェル議長はスウェーデンとフィンランドの選択を完全に支持すると表明した。

トルコはスウェーデンに5つの問題に対処するよう要求している。
▽テロ組織に対する政治的支援の終了。
▽テロ組織の資金源の排除。
▽PKKとそれに関連するシリアのクルド人民兵組織への武器支援の停止。
▽トルコに対する武器輸出制裁の解除。
▽テロ組織の取り締まり支援。

トルコ政府は2017年からPKK戦闘員などの引き渡しを要求しているが、スウェーデンからは前向きな回答は得られていないという。

またトルコ政府は、スウェーデンはPKKへの支援として2023年だけで3億7600万ドルの予算を確保し、対戦車兵器やドローンなどの軍事装備を提供する予定と主張している。

一方、フィンランドの国営メディアは司法省のデータを引用し、「フィンランド政府はこの数年でトルコから9件の引き渡し要請を受けた」と報じている。それによると、司法省は2件の引き渡しを認め、6件を拒否し、もう1件は審査中。

2022年5月25日/トルコ、首都アンカラ、トルコ代表団とフィンランド代表団(Turkish Presidency/AP通信)
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