◎サル痘の重症化リスクは低く、感染者の大半は数週間で回復する。
アフリカのサル(Joel santana Joelfotos/Pixabay)

世界保健機関(WHO)は20日、11カ国でサル痘の感染報告を80件確認したと発表した。

WHOによると、感染が疑われる例が50件報告されており、感染者はさらに増える可能性があるという。

サル痘は中央・西アフリカでよくみられる感染症のひとつで、1970年にコンゴ民主共和国で初めて検出された。

医療専門家によると、この感染症の重症化リスクは低く、感染者の大半は数週間で回復するという。死亡率は10%程度。

またコロナウイルスのように人と人との間で容易に広がることはなく、急拡大する可能性は低いと考えられている。

サル痘専用のワクチンは開発されていないが、医療専門家によると、種痘(天然痘の予防接種)でおおむね予防できるという。

WHOは20日の声明で、「感染したと疑われる人々を見つけ、支援するための体制を構築する」と述べた。

またWHOは悪いうわさや偽情報を流さないよう警告した。「スティグマ(差別や偏見)は感染したと疑われる人の発見を遅らせ、感染拡大のリスクを高める可能性があります...」

WHO欧州地域事務局のクルーゲ(Hans Kluge)事務局長は、「大勢の人が夏のパーティーやイベントに集まり、感染が加速することを懸念している」と警告した。

WHOによると、ここ数日で確認した感染者のうち、サル痘の流行地域に最近渡航した人は1人のみだったという。

欧州で最初に感染を報告したのはイギリスの5月7日。英BBCニュースは保健当局者のコメントを引用し、「この患者は最近ナイジェリアに渡航しており、そこでサル痘に感染した可能性が考えられる」と報じた。

イギリスのサル痘患者は20日時点で20人に増加した。当局は天然痘ワクチンを購入し、感染者に接触したり、感染の恐れのある個人への接種を始めている。

スペインの地元紙も、「政府は天然痘ワクチン数千本を購入した」と報じている。

オーストラリアでもイギリスから帰国した男性の感染が報告された。

米国では最近カナダに旅行した男性の感染が報告されている。疾病予防管理センター(CDC)によると、この男性の体調は良好だという

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