◎米国の石油在庫は6週連続で減少している。
米国自動車協会(AAA)によると、全米のガソリン価格は13日に過去最高値を更新し、レギュラーガソリンは1ガロン当たり4.43ドル、ディーゼルは5.56ドルまで上昇したという。
▽レギュラー1ガロン4.43ドル(リッター151円)※1ドル129円で計算
▽ディーゼル1ガロン5.56ドル(リッター189円)
米国のガソリン価格は中国のコロナ規則の長期化と、ロシアがEUへの原油供給を停止した場合、世界経済に深刻な影響が出るという見方が強まった結果、急上昇した。
13日のブレント先物は4.10ドル上昇し、1バレル111.55ドルで取引を終えた。米国の指標であるウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)は4.36ドル上昇し、110.49ドルで取引を終えている。
WTIは3月25日以来の高値。ブレント先物は3週ぶりに下落した。
みずほ証券のエネルギー先物担当エグゼクティブディレクターはSNSに、「米国の石油在庫は3月以降、増えていない」と投稿した。
米国の石油在庫は6週連続で減少している。
これを受け、多くのアナリストが夏のドライブシーズンのガソリン需要増に警戒感を示した。
さらに、EUがロシア産原油の段階的な禁輸に踏み切り、供給不足が発生すれば、そのつけは米国と世界経済に跳ね返ってくるだろう。
リスタッド・エナジーのアナリストは、「EUがロシアの原油を完全に遮断すれば、ロシアは1日約300万バレル分の収益を失い、欧州の原油市場は混乱し、その影響は世界貿易に波及し、世界市場のパニックと極端な価格変動を引き起こすだろう」と指摘している。
ロシアは今週、欧州のエネルギー企業数社に制裁を科し、供給不安を引き起こした。
一方、世界経済に大きな影響を与える中国は、今月中に上海のコロナ制限を緩和し、小売店の営業を再開すると発表した。
データ・分析会社OANDAのシニアマーケットアナリストは、「中国のコロナ感染状況は悪化していないという楽観的な見方と、リスクを分散させる動きで原油価格は反発した」と指摘している。
世界の株式市場は不安定な1週間の取引を経て何とか上昇し、欧米の株価指数を押し上げた。
EUは13日、イラン核合意の再開に向けた交渉で十分な進展がみられたと発表し、投資家の背中を押した。
しかし、米国はEUの努力を評価する一方、「合意したわけではなく、合意に至るかどうかはまだ分からない」とした。
専門家によると、米国がイランの制裁を緩和すれば、市場に1日100万バレルのイラン産原油が供給され、価格を押し下げる効果が期待できるという。
米国は2018年に核合意から撤退し、イランに厳しい経済制裁を科し、外国資産を凍結したうえで、イランの原油、天然ガス、石油化学製品に対する投資を禁止した。しかし、イランは制裁発動後も中国などに原油を輸出し続けている。