◎両国の指導者は今週末にそれぞれの立場を表明する予定。
フィンランドとスウェーデンは今週、NATO(北大西洋条約機構)に加盟するか否かを表明する予定である。
両国の首相がロシアの警告を無視して加盟を決断すれば、NATOはロシアと1300km以上国境を共有している国を仲間に加えることになる。
ロシアのプーチン(Vladimir Putin)大統領はNATOの東方拡大に反対し、ウクライナにNATO加盟を断念するよう圧力かけ、侵攻した。
フィンランドとスウェーデンのNATO加盟は歴史の転換点となる。スウェーデンは200年以上にわたって軍事同盟を避け、フィンランドは第二次世界大戦でソ連に敗れて以来、中立の立場をとってきた。
両国の議会はNATO加盟に興味を示していなかったとされる。しかし、議会の議論はロシアの侵攻で「なぜNATOに加盟しなければならないのか?」から「加盟にはどのくらい時間がかかるのか?」に変わった。
多くの専門家がウクライナ侵攻は「裏目に出た」と指摘している。
フィンランドの元ロシア外交官であるハウタラ(Heli Hautala)氏はAP通信のインタビューの中で、「侵略前に戻ることはできない」と語った。「プーチンの戦略は完全に裏目に出ました...」
フィンランドのニーニスト(Sauli Niinisto)大統領はロシアと比較的良好な関係を築いてきたように見えるが、侵攻後は対応は一変させた。両国の指導者は今週末にそれぞれの立場を表明する予定である。
もし「イエス」であれば、議会はNATO加盟を支持すると期待されている。
フィンランドのマリン(Sanna Marin)首相率いる社会民主党と他の政党はNATO加盟を支持すると示唆している。
一方、スウェーデンの政党は立場を明確に示していない。与党社会民主党はNATO非加盟を堅持してきた。しかし、党首のアンデション(Magdalena Andersson)首相は以前の記者会見で、「2月24日以前と以後ははっきりしている」と述べ、加盟を支持すると示唆している。
アンデション首相を含む社会民主党の指導部はNATO加盟に傾いているとみられるが、ストランドヘル(Annika Strandhall)環境相を含む一部の小グループは反対を表明している。
ストランドヘル氏は地元メディアのインタビューの中で、「私たちは非同盟であることが最も利益をもたらすと信じている」と述べている。
報道によると、フィンランドもスウェーデンも国民投票は計画していないとされる。
また両国は加盟を申請する場合、審査期間中にロシアが攻撃を仕掛けてくる可能性を考慮し、米国と他のNATO加盟国に安全保障を確約するよう求めている。
両国とも、加盟国に適用される5条(集団防衛)が確立するまでの「空白期間中」にロシアが何かしらの軍事行動を起こす可能性があると警戒している。
クレムリンは両国がNATO加盟を決めた場合、軍事的・政治的な影響を受けると警告している。
安全保障会議の副議長を務めるメドベージェフ(Dmitry Medvedev)前大統領は先月、両国が加盟を申請すれば、中欧の飛び地領カリーニングラード州に核兵器と極超音速ミサイルを配備すると警告した。
しかし、一部の専門家は、ロシア軍がウクライナで泥沼の戦いを繰り広げていることを考えると、両国がNATO加盟を申請しても軍事行動はありそうにないと指摘している。
元ロシア外交官のハウタラ氏は、「ロシアはフィンランドが加盟を決断した場合、国境付近に兵器を配備するなどの圧力をかける可能性がある」と語った。「ロシアは兵器配備、偽情報キャンペーン、サイバー攻撃、経済制裁、昨年ポーランドとベラルーシの国境で発生した移民誘導作戦などを実行する可能性があります」