スリランカは対外債務の処理に苦労している。
2022年5月6日/スリランカ、首都コロンボの大統領府近く、ラジャパクサ大統領の辞任を求めるデモ(Ishara Shara S. Kodikara/AFP通信)

スリランカのラジャパクサ(Gotabaya Rajapaksa)大統領は6日、怒れるデモ隊の抗議とゼネストで国が機能不全に陥りつつあるとして、今年2度目の非常事態を宣言した。

政府報道官は声明で、「数週間にわたる騒乱とストライキによる公共交通機関などの停止などを解消し、公共秩序を確保するために非常事態法を発動する」と発表した。

AFP通信によると、ラジャパクサ兄弟(大統領と首相)の辞任を求めるデモ隊が大統領府と議会周辺に押し寄せたため、警察は催涙ガスと放水砲を使用したという。

非常事態宣言は治安部隊の権限を大幅に強化する。警察は司法の許可を得ずに容疑者を逮捕したり、長期間投獄する権限を与えられる。

ラジャパクサ大統領は3月末、豪華な自宅近くでデモが発生したことを受け、4月1日に非常事態を宣言した。しかし、宣言に抗議するデモが全国各地で発生したため、大統領はまもなく宣言を解除し、国民に落ち着くよう求めた。

抗議デモは宣言解除も続き、1948年の独立以来最悪の経済危機に拍車をかけている。

ラジャパクサ大統領はデモ隊の辞任要求を却下し、国民に「忍耐」を求めている。

しかし、一部のデモ隊は大統領府近くに野営し、ラジャパクサ一族が政界を去るまで抗議し続けると誓った。

スリランカは破産寸前の状態で、500億ドルにのぼる対外債務のうち70億ドル近くを今年中に返済しなければならない。しかし、外貨準備は底をつきかけている。

外貨不足は製造業の原材料、食料、燃料の輸入を妨げ、インフレを加速させた。

ウクライナ侵攻による原油価格の高騰も危機に拍車をかけ、スリランカの燃料在庫は底をつきつつある。当局は発電所に十分な燃料を供給できないため、問題が解決するまで1日7時間半の計画停電を行うと発表した。

主要労働組合が組織した全国規模のストライキには数百万人が参加したとされる。組合は6日、仕事を放棄するよう促し、バス、鉄道、工場、商店、その他の施設労働者が参加した。

産業部門は各地の工場や施設に抗議の意志を示す黒い旗を掲げた。

首都コロンボの主要労働組合の代表であるクムデシュ(Ravi Kumudesh)氏はアルジャジーラの取材に対し、「私たちはこの非常に残念な経済危機を引き起こした大統領が辞任するまで戦い続ける」と語った。「あの男は去らねばなりません..」

スリランカ政府は先月、世界銀行や国際通貨基金(IMF)の融資を確保するまで債務の支払いを停止すると発表した。

サブリ(Ali Sabry)財務相は今週、「スリランカは少なくともあと2年は未曽有の経済的苦境に耐えなければならない」と警告した。

医療機関では医薬品が不足し、食料品店には連日長蛇の列ができている。

ラジャパクサ兄弟は「無謀な減税」「外貨を獲得できない無駄な施設への投資」「意味不明な政策」、そして中国の「債務トラップ」に引っ掛かり、借金を積み重ね、主要な港湾インフラを中国に引き渡した。

2022年3月31日/スリランカ、首都コロンボの大統領邸近く、政府に抗議する市民と警察(Eranga Jayawardena/AP通信)
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