◎ロシア軍は各地の鉄道やその他のインフラにミサイル攻撃を仕掛けている。
ウクライナ政府は4日、ロシア軍が各地の鉄道やその他のインフラにミサイル攻撃を仕掛けていると非難した。
南東部マリウポリのアゾフスタリ製鉄所でも戦闘が再開し、地下に閉じ込められた民間人の避難に影響が出ているとされる。
マリウポリ市長によると、アゾフスタル製鉄所などで激しい戦闘が報告されたという。ロシア軍は製鉄所への攻撃を否定しているが、製鉄所地下に立てこもっているアゾフ連隊の司令官はロシア軍が施設内に侵入したと報告している。
ロシア軍は4日、ウクライナの5つの鉄道駅の変電設備、ウクライナ軍の拠点、燃料や弾薬庫をミサイルで破壊したと主張した。
ウクライナのクレバ外相はSNSに、「ロシアはミサイルテロを開始し、ウクライナ全土に恐怖を広げようとしている」と投稿した。
主要メディアによると、首都キーウ近郊、東部ドニプロ、南東部ザポリージャなどで攻撃が報告されたという。これらの都市では空襲警報が鳴り響き、重々しい空気に包まれている。
一連のミサイル攻撃で死傷者が出たかどうかは明らかにされていない。
ゼレンスキー大統領は4日のビデオ演説でミサイル攻撃を非難した。「これらの犯罪はすべて、法的に、そして極めて現実的に解決されるだろう...」
世界はプーチン大統領が5月9日の対独戦勝記念日に勝利を宣言するのか、それとも特別軍事作戦を「戦争」に引き上げるかどうかに注目している。
戦争状態を宣言すれば、プーチン大統領は戒厳令を発動し、予備役を動員して部隊の損失を補うことができる。
しかし、ロシアのペスコフ報道官はこの憶測をナンセンスと一蹴した。
一方、侵攻の中継地であるベラルーシは4日、軍事演習を開始したと発表した。ウクライナ政府はこれに素早く反応し、ベラルーシ軍が1mmでも国境を越えれば対応すると誓った。
ロシア国防省の報道官によると、鉄道インフラへの攻撃は西側の兵器輸送を妨害することを意図しているという。
AP通信は米国防総省の高官の発言を引用し、「ロシア軍は西部リビウ周辺の重要インフラを攻撃しようとしたが、ウクライナ軍の補給能力に影響は出ない」と報じた。
ポーランドと国境を接するリビウは西側の兵器供給拠点になっている。
ウクライナは西側に兵器の供与を強化するよう繰り返し要請している。
米バイデン大統領は議会にウクライナ支援予算330億ドルを提案した。兵器供与に乗り気でなかったドイツも榴弾砲を含む地上兵器の供与を決めている。
また西側は厳しい経済制裁でロシアの首を締めあげようとしている。
EUを統括する欧州委員会は4日、ロシア産原油の禁輸を含む追加制裁を加盟27カ国に提案した。
フォン・デア・ライエン委員長は仏ストラスブールの欧州議会で、「我々は代替供給ルートを確保し、世界市場への影響を最小限に抑えつつ、秩序ある方法でロシア産原油を取り締まることができる」と述べた。
この提案を実行するためには加盟27カ国の同意が必要。ハンガリーとスロバキアは原油の禁輸に反対を表明しており、この2か国のみ免除される可能性もある。
EUは天然ガス禁輸の可能性についても協議している。
ロシア経済は原油と天然ガスの輸出に大きく依存している。一方、EUも国内で消費する天然ガスの約40%をロシアから輸入している。
フォン・デア・ライエン委員長は、ロシア最大の銀行であるスベルバンクと他の2つの大手銀行をSWIFT(国際銀行決済システム)から切り離すことも提案した。
一方、ロシア政府はテレグラムの投稿で、5日~7日の特定の時間にザポリージャ原発に人道回廊を設置すると発表した。同原発にも民間人が身を寄せている。
しかし、ウクライナ政府はこの投稿に反応しておらず、国連や赤十字が仲介したかどうかも不明。同原発を防衛しているアゾフ連隊の司令官は3日、ロシア軍が原発の敷地内に侵入してきたと報告した。
ロシア軍は2014年に併合したクリミア半島と東部ドンバスのテロ国家(ルガンスクとドネツク)を結ぶ陸上回廊を形成したいと考えており、回廊の中間に位置するマリウポリの完全掌握を目指している。