◎米国ではロー対ウェイド裁判の判決が覆され、多くの州で妊娠中絶が非合法化されるという懸念が高まっている。
国連のグテレス事務総長は4日、「女性の権利は世界のジェンダー平等にとって不可欠であると考えている」と声明を発表した。
米国ではロー対ウェイド裁判の判決が覆され、多くの州で妊娠中絶が非合法化されるという懸念が高まっている。
▽ロー対ウェイド事件(1973年):最高裁は妊娠中絶を「合衆国憲法で保障される権利」と認め、堕胎禁止を初めて違憲と認めた。
グテレス氏の報道官は最高裁の審理草案が漏洩し、問題が全米に広がったことについて、「事務総長は性と生殖に関する権利が世界の女性と女児に力を与え、平等な生活を送るための基盤であると長い間信じてきました」と述べた。
また報道官は、「人口の50%(女性)の完全な権利を保障しなければ、世界は敗者になる」と懸念を表明した。
報道官は最高裁の判決次第で全米の多くの州が妊娠中絶を非合法化することについてはコメントを避けた。
ポリティコ社が報じた最高裁の審理草案によると、保守派の判事はミシシッピ州が起こしたロー対ウェイド裁判の判決を覆すことに賛成した。ただし、これはあくまで草案であり、判決がその通りになるとは限らない。
ジョン・ロバーツ連邦最高裁判所長は3日、草案の流出を「重大な違反」と非難し、関係機関に調査を開始するよう要請した。
主要メディアによると、この裁判の判決は6月下旬から7月上旬頃に下される見込みだという。
グテレス氏の報道官は、「事務総長は性と生殖に関する健康と権利や必要不可欠な保健サービスなど、女性の権利を追求し続けることが不可欠と考えている」と述べた。
全米の保守的な州は人工中絶を禁じる州法を複数施行している。少なくとも13の州がロー対ウェイド裁判の判決が覆された時点で中絶を禁止するトリガー法を施行しており、他の州も同様の措置を取る可能性がある。
流出した文書には、「合衆国憲法は保障すべき権利を明記しているが、妊娠中絶を含むその他は明記されていない」と書かれている。一部の専門家は「同性婚、対外受精、避妊、LGBTQの権利などについても同様の議論に発展する可能性がある」と指摘している。
全米のリベラルな州では中絶の権利保護を訴える集会が開催され、数千人が最高裁の保守系判事を批判した。