◎同国内でエボラに感染し死亡した人は4月21日以降、少なくとも2人確認された。
世界保健機関(WHO)は28日、コンゴ民主共和国でエボラワクチン出血熱のワクチン接種が本格的に始まったと明らかにした。
保健当局によると、同国内でエボラに感染し死亡した人は4月21日以降、少なくとも2人確認されたという。
WHO地域ディレクターは声明の中で、「コンゴ民主共和国には効果的なワクチンがあるため、エボラの拡大を抑えることができる」と述べている。
ワクチン接種は同国北西部の町ムバンダカで始まった。
WHOによると、約200回分のエボラワクチン「rVSV-ZEBOV」がムバンダカに送られ、今後数日のうちにさらに多くのワクチンが届くという。
rVSV-ZEBOVは2019年11月にEU、同年末には米食品医薬品局(FDA)が認可した世界初のエボラ出血熱のワクチンである。その効果は極めて高く、感染初期段階で接種すればほぼ100%完治するという研究結果が出ている。
WHOによると、全国でこれまでに233人の濃厚接触者が確認され、医療機関の監視下に置かれているという。コンゴ政府はWHOと協力してエボラ治療センターを設置した。
ムバンダカでは2020年のエボラ拡大で少なくとも130人の感染が報告され、55人が死亡した。
エボラウイルスは1976年に旧ザイール(コンゴ民)で初めて確認された。それは動物からヒトに感染し、ヒトからヒトへは体液を介して感染する。主な症状は発熱、嘔吐、出血、下痢など。
エボラ出血熱はリスクグループ4に該当するウイルスのひとつで、治療開始が遅れると致死率は90%に達する。4月21日にムバンダカで死亡した31歳の男性は2週間ほど前に症状を確認していたものの、治療が遅れたと伝えられている。