◎ナイジェリアの北部で活動する武装集団は、10年以上にわたって学生や村人を身代金目的で誘拐してきた。
ナイジェリア議会上院は27日、誘拐犯への身代金支払いを非合法化し、被害者が死亡した場合、誘拐犯を死刑に処す法案を賛成多数で可決した。
法案が成立すれば、誘拐事件の被害者家族や関係者は自分の判断で誘拐犯に身代金を支払えなくなり、違反した場合、15年以下の懲役刑を科されることになる。
上院の司法・人権・法律委員会は、「身代金の支払いを禁じることで、身代金目的の誘拐事件を減らすことができる」と述べている。
また既存のテロリズム法も改正される予定で、「誘拐によって人命が失われた場合、事件に関与し有罪判決を受けた者は死刑もしくは終身刑を科される」としている。
ナイジェリアの北部で活動する武装集団は、10年以上にわたって学生や村人を身代金目的で誘拐してきた。
誘拐後や誘拐の過程で殺害された市民は数千人と推定されている。
ブハリ大統領は今年、北部で「バンディット」と呼ばれている武装誘拐団をテロ組織に指定し取り締まりを強化したが、それ以降も誘拐事件は各地で相次いでいる。
政府のデータによると、2020年12月~2021年3月の間に誘拐された学生は760人を超えたという。武装集団は寄宿学校などの教育施設を襲撃し、学生らを誘拐した。
2020年12月に北西部カツィナ州で男子学生300人以上が誘拐された事件、2014年にイスラム過激派組織ボコ・ハラムが関与したとされる女性生徒276人が誘拐された事件は国際社会に衝撃を与えた。
カツィナ州の被害者は6日後に解放された。政府は身代金の支払いを否定している。
ラゴスに拠点を置く政治リスク分析会社SBMの報告書によると、2011年6月~2020年3月の間に、身代金として少なくとも1800万ドル(23億円)が誘拐犯に支払われたという。そのほとんどが家族または政府によるものと考えられている。
法案は数日中に下院を通過する予定。ブハリ大統領の署名で成立する。