◎ミャンマーは昨年2月の軍事クーデター以来、現金不足に悩まされている。
2022年4月19日/ミャンマー、ヤンゴンのガソリンスタンド(AP通信)

ミャンマーの軍事政権は19日、ガソリンとディーゼルの在庫が切れるという噂が流れ、市内のガソリンスタンドでパニック買いが発生したことについて、燃料が枯渇するという独立系メディアの報道を強く否定した。

しかし、最大都市ヤンゴンのガソリンスタンドで給油したある運転手はAP通信の取材に対し、「今日も給油量を制限された」と語った。このスタンドはレギュラーリッター1975チャット(138円)、ディーゼルを2160チャット(150円)で販売していた。

国営メディアは電力エネルギー省の声明を引用し、「噂は根拠のないものであり、一部のガソリンスタンドで報告された長蛇の列は、小売店の設備に問題があったためだ」と報じた。

また同省は国内の燃料貯蔵施設には十分な在庫があり、ヤンゴンの港には大型タンカー2隻が停泊していると述べた。

同省は、「パニック買いを抑える措置を講じており、小売販売は通常通り行われる」と主張した。

ヤンゴンにある民間燃料会社の幹部はAP通信の取材に対し、「パニック買いは中央銀行が企業や個人に、ドルやその他の外貨をチャットに換金しなければ法的措置を取ると命じたせい」と指摘した。

中央銀行は先々週、企業や個人に対し、ドルやその他の外貨を1日以内にチャットに交換するよう命じ、応じなければ法的措置を取ると発表していた。

AP通信によると、両替は1ドル1850チャットの固定レートで行われ、闇市場の1ドル約2000チャットを下回っている。また、外貨の海外送金も厳しく規制されることになった。

この命令は、政府の外貨準備が不足していることを示唆している。軍事政権は貴重な外貨、特にドルの使用を抑え、海外送金による外貨の流出を阻止したいと考えている可能性が高い。

ミャンマーは昨年2月の軍事クーデター以来、現金不足に悩まされている。西側諸国の金融制裁はコロナウイルスの感染拡大でひどく傷ついた経済をさらに疲弊させた。

世界銀行によると、同国の2020/2021年(2020年10月~2021年9月)の経済成長率はマイナス18%。

燃料会社幹部はAP通信に、「政府は外国企業から燃料を購入することに難色を示している」と説明した。「中央銀行は輸入業者に対するドル建て枠をまだ決めておらず、交渉は難航すると予想されています...」

政府はドル建てで契約した外国企業にドルを支払わなければならないが、外貨は貴重であり、チャットで商品(燃料や食料など)を購入したいと考えているのかもしれない。

しかし、軍事政権の報道官は国営MRTVに対し、「一部の民間企業は中央銀行が定めたドルレートでの両替を拒否し、燃料不足が発生するという噂を流している」と非難した。

また報道官は軍事政権に反対する独立系メディアがフェイクニュースを流していると主張し、外貨準備が枯渇しかけているという噂を否定した。「テロリストの偽情報に騙されてはいけません...」

国営メディアによると、ドルは20日から「両替資格のある人にのみ」販売される予定だという。

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