◎スリランカは対外債務の処理に苦労している。
スリランカ警察は19日、治安部隊が燃料の値上げや日用品不足に抗議するデモ隊に発砲し、少なくとも1人が死亡、13人が負傷したと明らかにした。
警察が進行中のデモに対して発砲したのは今回が初めて。
警察は首都コロンボの郊外で行われたデモ隊に発砲したことを認めた。報道官は記者団に対し、「デモ隊は線路や道路を塞ぎ、警察の警告を再三無視し、石を投げた」と説明した。
AP通信などによると、銃弾を受けたとされる14人が病院に搬送され、1人が死亡したという。このうち3人は手術を受け、経過観察中と伝えられている。警察官数人が投石攻撃で負傷した。
スリランカは破産の危機に瀕しており、総額250億ドルの対外債務のうち70億ドル近くを今年中に返済しなければならない。政府は外貨不足の影響で輸入品の代金を支払えなくなり、あらゆる物資が不足している。
米国大使と国連調整官は19日、すべての関係者に自制を促し、政府に平和的なデモの権利を保障するよう求めた。また米大使は発砲に関する独立した調査を要求した。
警察は事件が発生した地域に夜間外出禁止令を出した。
市民は食料、調理用ガス、燃料、医薬品、その他の生活必需品不足に数カ月間耐え、食料を購入する列に何時間も並んでいる。
燃料価格はここ数カ月で何度も値上がりし、その結果、電気代、ガス代、生活必需品の価格も急上昇した。18日の深夜にも値上げが行われた。
コロンボの大統領府前に集まった数千人の抗議者はラジャパクサ大統領と首相に辞任を求めた。一部のデモ隊は大統領府の敷地内で野営している。
マヒンダ・ラジャパクサ首相は19日、憲法を改正し、ラジャパクサ大統領に与えられた権限の一部を議会に移譲すると発表した。
ラジャパクサ首相は議会演説で、「権力の移譲は国を安定させ、経済回復計画に関する国際通貨基金(IMF)との協議を後押しするだろう」と語った。
首相の弟であるゴタバヤ・ラジャパクサ大統領は2019年の就任後、大統領府に権力を集中させた。
ラジャパクサ首相は「経済問題の解決策を模索しつつ、国内の政治的・社会的安定を確保する必要がある」と述べ、議会の権限を回復することで改革とIMFとの協議を進めたいと強調した。
ラジャパクサ兄弟は辞任を拒否しているため、議会に権限を移譲してもラジャパクサ家は権力を維持する可能性が高い。
ラジャパクサ大統領は18日、IMFへの支援要請が遅れたことや、農業を完全に有機化する措置などで危機が拡大したことを認めた。
政府は昨年6月、「100%有機産業プログラム」を開始し、農薬の使用を原則禁止した。その結果、農家の負担は激増し、品種によっては生産量が最大50%減少し、深刻な食糧不足を引き起こした。その後、政府はIMFに支援を求め、数十万トンの米を輸入せざるを得なくなった。
野党はラジャパクサ兄弟に引退を勧告しているが、兄弟は議会の過半数を堅持しているため、解散総選挙を行わない限り、新政府を樹立することは難しい。
ラジャパクサ首相は18日に新内閣の面々を紹介し、ラジャパクサ家の議員をポストから外したとアピールした。ラジャパクサ家のバジル氏(財務相)、チャマル氏は(灌漑相)、ナマル氏(スポーツ相)は今月初めの閣僚一斉辞任でポストを後任に譲った。
一方、財務省は19日、「財務相はワシントンD.C.でIMFの専務理事と会談し、緊急融資について協議した」と声明を発表した。
スリランカ政府は中国とインドにも緊急融資を求めている。