◎コーラン焼却に反対する抗議デモが激化した。
スウェーデン南部で16日、コーランを燃やしてイスラム教を嘲笑する極右の反イスラム集会に反対する抗議デモが激化し、乱闘が発生した。
南部ランツクルーナで予定されていたデンマークの極右政党「ハードライン(デンマーク語でStram Kurs)」の集会はすぐ近くのマルメに会場を変更したものの、コーラン焼却に反対する市民と右翼の乱闘を防ぐことはできなかった。
スウェーデン警察によると、集会に反対する若者約100人が集会場の近くで石を投げ、バス、車、タイヤ、ごみ箱に火をつけ、バリケードを設置して交通を妨害したという。
ランスクローナで16日遅くに発生した乱闘は数時間後に沈静化したと伝えられているが、マルメの緊張状態は続いている模様。警察は声明で、今のところ負傷者は確認されていないと報告した。
コーラン焼却に反対する暴動は中部オレブロで15日に発生し、右翼とデモ隊が激しく衝突。警察官12人が負傷し、警察車両4台が燃やされる事態に発展した。
警察はコーランを燃やそうが十字架を燃やそうが、法律に違反するような集会(麻薬、暴力、殺人など)でない限り、これらの集会は「言論の自由」に基づき許可されるという見解を示している。
ソーシャルメディアではオレブロの乱闘関連の動画や写真が複数共有されている。ある抗議者はパトカーに火を放ち、警察官に拳サイズの石を投げつけていた。
スウェーデン南部警察の広報担当はスウェーデン通信のインタビューの中で、「言論の自由を重んじるスウェーデンでは、ランスクローナのデモも許可されるし、警察は法律違反でない限り許可を取り消さない」と述べた。
また広報担当は、「集会参加者の発言する権利は非常に重く、デモを取り消すには信じられない努力が必要だ」と強調した。
マルメの集会は16日の夕方頃から始まり、極右政党ハードラインの指導者であるラスマス・パルダン(Rasmus Paludan)が数十人を前に演説した。
デモ隊の投石攻撃は演説中も続いたため、警察は唐辛子スプレーを使ってデモ隊を抑え込んだ。
スウェーデン通信は、パルダンも足に石を受けたと報じた。警察によると、重傷者は確認されていない。
ハードラインがコーラン焼却集会を計画または実施した他の都市でも衝突が報告されている。
デンマーク系スウェーデン人のパルダンは2017年にハードラインを創設した。ハードラインのウェブサイトには、「Stram Kursはデンマークで最も愛国的な政党である」と書かれている。